横浜DeNAがドキュメント「BBB」を公開 三浦監督らが舞台挨拶に登場し、来季への飛躍を誓う
三浦大輔新監督を迎えた横浜DeNAベイスターズの2021年シーズンの様子を描いたドキュメント『BBB』(BAY BLUE BLUES)が12月22日に公開を迎えた。 球団のドキュメントシリーズ8作目となる今作。公開初日には、三浦大輔監督、今永昇太投手、佐野恵太選手の3名が登場し、作品への想いや、今シーズンは8年ぶりの最下位(54勝73敗16分け)に沈んだチームの飛躍を誓った。
Junichi Shiratori
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2021/12/23
――作品をご覧になられた印象は?
三浦大輔監督:いろいろなことを思い出しながら作品を見ました。監督に就任してからの「あっという間」の1年間。悔しい思いが蘇ってきましたね。
今永昇太投手:僕たちの成績と比例するように、悔しくて涙が出そうになるシーンが多い作品でした。来シーズンは、皆さんにたくさんの笑顔を届けられる映画にしたいなと思います。
僕たちも知らなかったシーンがありましたし、みんなが「悔しさ」を感じながらプレーしていることを改めて知りました。その悔しさを受け止めて、今後の自分に生かしていきたい。
佐野恵太選手:「こんな場所までカメラが入ってくれているんだ」という映像や、僕らも見たことがないシーンも多い作品だったので、面白いと思って見ました。
――作品を見て意外な一面はありましたか?
佐野:僕ら野手陣が現場を見ることが少ない投手陣の想いを知れたことは、貴重なことだなと思いました。
今永:ロッカールームやグラウンドでは、決してネガティブな発言をしない佐野キャプテンが、作品内で、(試合に勝てずに)「面白くない」、「悔しい」と話している場面がありました。
佐野がキャプテンとしてもものすごく苦しいシーズン過ごしてきたことを知り、新しい部分が垣間見えた一方で、「キャプテンをサポート出来ていなかったな」と、自分自身を振り返る機会にもなりました。新しい発見があったと思います。
――なかなか試合に勝てない日々が続くなか、選手たちがビデオを作ってチームをまとめようとするシーンがありましたね?
三浦:佐野キャプテンを中心に、現状を打破しようとモチベーションビデオを作ったり…。選手たちはグラウンド以外でも戦っていましたし、監督やコーチが見えない部分も描かれていました。
それと、作品内で描かれている選手たちのリアルな苛立ちですよね。常にカメラが回っているのはなかなか慣れないですし、時にカメラに苛立ちをぶつけてしまうこともある。僕自身も、慣れない部分がありましたからね。ベイスターズの「リアルな部分」を映し出された映画なのかなと思います。
――作中には、投手陣が開幕投手を争う場面もありましたね?
佐野:(開幕投手の)濱口は、ドラフトの同期でもありますし、強い気持ちを持っている選手。「濱口らしいなと」思って、作品を見ていました。
――プレー中にカメラを気にすることはありましたか?
今永:気にするというよりは、「仕事の一部」という割り切り方をしていました。そのほうが、自分も楽ですからね。
三浦:データなどは映らないように、カメラマンが配慮してくださいました。「俺はいいから、選手を撮ってほしい」という話はしましたね。
佐野:プレー中は、カメラを気にすることはありませんが、本当に一人で考える時とかは、(撮影は)「すみません」という時もあった。
本当、どの映像を使われているのかはわからなかったので、ヒヤヒヤしながら見ていました(笑)。でも、改めて自分自身の映像を見ることで、気付かされることもありましたね。本当に1年間、必死に戦うチームの姿を撮影してくれたと思います。
――今年は、15の映画館で上映されるようですね?どんな方に見てほしいですか?
三浦:ベイスターズファンはもちろん、そうでない人も映画を見て、チームのファンになってくれたら嬉しいですね。
――球団のドキュメントとしては、『BBB』は8作目の作品です。過去の作品をご覧になられたことはありますか?その印象も教えてください。
今永:悔しかったルーキーイヤーの翌年、(クライマックスシリーズを経て)日本シリーズに進出した2017年の作品が印象に残っています。
佐野: 僕は初めて作品を見ました。以前にYouTubeで、映画のシーンの一部でもある現役時代の三浦監督や三嶋さんが、オールスターゲームの会見に臨む姿を見た。三浦監督の現役時代に僕は入団していないので、印象に残っています。
三浦:最初の作品が印象に残っている。ロッカールームやベンチ裏のギリギリのところまでカメラを持ち込み、撮影していたのは衝撃的でした。
――「嫌なことがあった時」のリフレッシュ方法はありますか?
佐野: 映画の中にもありましたが、(不振で)なかなか勝てなかった4月には、海を見ていました。(作品内で)「海を見たら、心が洗われる」と話していて、自分でも「何を言っているんだ」と思ったんですけど…(笑)スッキリした気持ちで家に帰ったり、グラウンドに足を踏み入れるように心がけていましたね。
今永:僕は、悩み出したらとことん悩んでしまうタイプなので、打たれた時や、苦しい時は「車で家に帰るまで」とか、「ロッカールームに入るまでとか、自分の中でのリミットを決めて悩むことにしていまました。
三浦:コロナ禍の影響で、なかなか外に遊びにも行けなかったので、早めに球場に行って、ランニングをしながら汗をかいたりして、試合に臨んでいました。現役の時と同じですね。
――コロナ禍で大変なシーズンだったと思いますが、体調管理で気をつけていることはありますか?
今永:風呂に浸かることですかね。寝る前に風呂に入ると寝つきやすいですし、(コロナ禍で)家にいる時間が長かったこともあり、コンディショニングを勉強するきっかけにもなりました。
佐野:空気清浄機や加湿器を使って、部屋の湿度を保つように気をつけました。
――選手間のコミュニケーションで苦労はありましたか?
今永:コミュニケーションでの苦労はなかったですが、若い選手がたくさんいるので雑談を増やすようにしました。投手陣との交流が多いのですが、あえて関わりの薄かった野手陣と話したり…。
コロナ禍期間中でも、コミュニケーションは増えましたね。 個人的に、意外だったのは牧(秀悟)。「真面目な選手」だと思ったんですけど、印象通りにトレーニングもこなす一方で、意外にひょうきんな性格でキャラクターも立っていた。「“ズルい”ギャップだな」と思いました。
佐野:通常ならば、一緒に食事に行く機会を設けたりして、新加入選手との交流を深めるのですが、コロナ禍で難しい状況でした。
キャプテンという立場でもありますし、そのような難しい状況でも、グラウンドやロッカーでの声掛けなどは意識してやっていました。
僕も若手時代には先輩方にコミュニケーションの取りやすい環境を作ってもらっていた。なので、できていたかどうかはわかりませんが、同じようにしてあげたいという想いでしたね。
――お気に入りのシーンはありますか?
今永:桑原選手が、練習後や休日に練習しているシーンですね。僕も、実際の現場を目にしたことがあったので、「こういう気持ちで練習していたんだ」と2021年シーズンに好成績だった背景を知ることができました。桑原選手の苦しい気持ちを知っていたので、僕自身も活躍は嬉しいですし、改めて「素晴らしい選手だな」とも思いました。
三浦:グラウンドで見られる選手の表情だけでなく、試合後のロッカーや、途中交代した後など様子なども楽しんでもらえたらなと思います。
佐野:「同じ同級生として頑張らないといけないな」というセリフがありましたが、僕自身も同級生の濱口が活躍する様子を1年目から見ていましたし、刺激ももらった。入団してすぐの頃は、似たような思いを持っていたので、懐かしい気持ちになりました。
――ファンの方への想いをお聞かせください。
今永:この状況でも、僕たちを応援する理由を見つけて、声援を送り続けてくれたファンに報いなければいけない。選手としても、チームとしての価値も薄れてしまう。(最下位に終わった)このようなシーズン送ってしまった最後まで応援してくれた方々のために、何かを残さないといけないと思う。
三浦:今シーズン掲げた「横浜一心」というキャッチコピーの元、一緒に戦ってくれたチームメートですから、『BBB』を見て、もっともっとチームのことを好きになってほしいと思います
佐野:まだまだコロナ対策の影響もあり、近い距離でのファンサービスは難しいですけど、こうして多くのファンの皆さんの前で質問に受け答えするのは懐かしいですし、戻ってきているような感覚がある。ファンの皆さんとはもっと近い距離で来シーズン迎えたいなと思う。
――今作の感想や、来シーズンへの抱負をお聞かせください。
今永:僕自身も悔しい想いをしましたし、みんなも同じ悔しさを感じている。来シーズンはこういう気持ちにならないように、先頭に立ってチームを引っ張りたいです。
三浦:作品を見て、悔しい思いが沸々と湧いてきました。ロッカールームの様子など、自分たちも知らない選手の表情が見られたので、よかったです。
佐野:なかなか見られないような選手それぞれの感情など、映画を見て初めて知ったこともたくさんある。深いところまで追いかけてくれている面白い映画に仕上がったと思います。
URL:https://www.baystars.co.jp/bbb/20
<ストーリー>
だが苦しみばかりではなく今永昇太や田中健二朗、東克樹の復活。ルーキー牧秀悟の存在など新しい力が台頭し、明るい未来を予感させた。
2019年シーズン以来、2年ぶりとなる球団公式ドキュメンタリーシリーズ第8弾。
270日間の密着映像の中から、挫折と栄光の狭間で葛藤する選手の心中とチームの真実の姿を詰め込んだ渾身の映像作品。ファインダー越しにみる、ありのままの苦悩、葛藤、歓喜、感動。そのすべてを綴った男達のブルース。ぜひ劇場でご覧ください。