【パリ2024パラリンピック】車いすラグビー 国際大会直近2大会連続優勝チームがパラで目指す金メダル
パリ2024パラリンピック車いすラグビーの予選が8月29日より始まる。2016年のリオデジャネイロ大会、2021年東京大会ではいずれも銅メダルを獲得。直近の国際大会4月の2024 Wheelchair Rugby Quad Nations、6月のCANADA CUP 2024ではいずれも優勝を成し遂げた日本代表には金メダル獲得への期待も大きい。車いす同士がぶつかり合う激しさが特徴の車いすラグビーの見どころと記者会見の様子をレポートする。※トップ画像出典/Getty Images
さまざまなメンバーで構成されるクラス混合、男女混合
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車いすラグビーの試合はバスケットと同じサイズのコートで行われる。4対4で、選手交代に制限はない。選手はそれぞれ筋力、体幹機能、動作の機能テストおよび競技観察を実施して、その障がいの程度によってクラスという点数(ポイント)がつけられている。試合ではこの点数を合計し、1チーム4人の持ち点の合計が8点以下で競い合う。コート上に女性選手が加わる場合は、クラスの合計に0.5点追加することが許され、日本代表選手にも倉橋香衣がメンバー入りしており、今大会でも活躍が期待されている。
障がいの重い順から点数が低く(0.5点)、ハイポインターと呼ばれる障がいが軽い選手は点数が高く(3.5点)、0.5点刻みで設定されている。
男女が同じチームで戦うこと、また障がいの程度の差によってそれぞれが役割を果たし、同じコートで一緒に戦うというのが車いすラグビーならではの魅力である。
車いす競技唯一のコンタクトスポーツ
選手は膝の上に丸いボールを乗せて車いすをこいで陣地を獲得していく。ただし、10秒以内にドリブルまたはパスをしなければならない。一般のラグビーとは違って、前方へパスすることも可能である。バスケットボールと似ているようにも見えるが、車いすラグビーは、車いす競技の中で唯一、車いす同士がぶつかる(コンタクトする)ことが許されており、その迫力は凄まじい。
競技用の車いすは、街で目にしたことのある車いすとは形が異なり、大きく分けて攻撃型と守備型の2種類がある。
攻撃型は、細かいターンや動きができるようにコンパクトに作られており、障がいの軽い選手が乗ることが多い。守備型は、相手の動きを止めるために突き出したバンパーが特徴であり、この車いすでディフェンス、タックルに行く。選手は自由に車いすを選んでいい。なお、タックルは許されているが、タイヤの中心より後ろへのタックルは禁止されており、また競技中は手で他の選手の車いすや体に触れることは反則になる。
タックルをするので、当然車いすがトラブルに見舞われることもある。そのため、コートの横にはパーツが並べられ、いつでも修理に対応できるように準備されている。
車いすのぶつかり合いはもちろん、選手の身体能力の高さやチームを支えるスタッフの仕事も見ものである。
目指すは金。選手たちの意気込みとゲームの見どころ
7月に行われた代表会見では、ヘッドコーチの岸光太郎が
「どのような場面でも誰でも出せるというような、いつもどんなピンチがあっても誰でも出していけるローテーションをかけることができるという部分を考えて選手選考をした」と語っていた。
また「日本の部分はどんどんラインを出しても決して劣ることもない強さで、プレッシャーをかけることができるチーム」とベストなメンバーで臨むことに胸を張ったが、金メダルについては「あえてそういったことは言わないつもりでいます」と目標を明らかにすることはあえてしていなかった。
一方で、キャプテンの池透暢は、「国際大会では2大会優勝しており、最高の状態でパリに臨みます」と自信を口にし「一番輝くものを今回は密かに狙っていきたい」と決意を語った。
パラリンピック6大会目の出場となる島川慎一は、「今がやっぱり一番が強い」と語った。
「今度こそは、もちろん金メダルを狙っています」
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今回初のパラリンピック出場となる草場龍治は、スピードと体幹機能を活かしたハードワークで最後まで諦めないプレーをすることが持ち味だ。
バイスキャプテン羽賀理之は今大会の注目ポイントを次のように述べた。
「いろんな障害を持った、幅の広い障害の中でお互いを認め合って、どれくらいのパスレンジだとか、どれぐらいのスピードだとか、そういうのを本当に意識しあってチームとして戦っているっていうのがある。チームとしてその頂点を目指していくっていうところ、見てもらえたらいい」
金メダルを目指す、熱い闘志を燃やした車いすラグビー日本代表たち。今年のパラリンピックは彼らから目が離せなくなりそうだ。
パリ2024パラリンピック 車いすラグビー競技の予選スケジュール
8月30日13:30(8月30日20:30)アメリカvs日本
8月31日17:30(9月1日0:30)カナダvs日本
()内は日本時間
※上位2チームが準決勝に進む
日本代表選手(氏名、クラス、背番号の順)
長谷川 勇基、Class0.5、背番号2
小川 仁士、Class1.0、背番号23
草場 龍治、Class1.0、背番号11
若山 英史、Class 1.0、背番号1
乗松 聖矢、Class1.5、背番号22
中町 俊耶、Class2.0、背番号14
羽賀 理之、Class 2.0、背番号4
池 透暢(※)、Class 3.0、背番号21
池崎 大輔、Class3.0、背番号7
島川 慎一、Class 3.0、背番号13
橋本 勝也、Class3.5、背番号32
(※)キャプテン