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「誰が何履いてる?」サッカー日本代表“足元”最新勢力図

ピッチの下でうごめく、もうひとつの“代表争い”とは?2025年3月。サッカー日本代表は、バーレーン・サウジアラビアとの大一番に挑む。W杯アジア最終予選を前に、森保ジャパン27名が招集された。だが我々はあえて問い直したい。「選手の顔ぶれ」ではなく、「足元の顔ぶれ」はどうなっているのか、と。実は代表メンバーの“スパイク事情”は、彼らのプレースタイルや哲学、時にはスポンサー契約事情まで、見えないパーソナリティを映し出す鏡でもある。しかも、そこにはメーカー同士の静かな火花が散る“代理戦争”も。誰がどのブランドを選び、どのモデルがいま代表で支持されているのか?サッカーは「足で戦うスポーツ」──だからこそ、スパイクを見るとおもしろい。※イラスト/これ松えむ

IcôneIppei Ippei | 2025/04/18

スパイク界の「三国志」プーマ・アディダス・ナイキ、王座は誰の足元に?

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プーマ「ウルトラ 5 アルティメット」のイメージ(イラスト/これ松えむ)

結論から言おう。今、最も日本代表選手に愛されているスパイクは、プーマである。なんと27人中10人がプーマを着用。しかも《ウルトラ 5 アルティメット》は最多の4選手が使用という快挙。堂安律、三笘薫、遠藤航など、今の日本代表の“推しメン”たちが履いていることを考えれば、説得力は抜群だ。

そして2位は、どの時代も一定の存在感を放つアディダス(8人)。プレデター、F50、コパと定番のシリーズに分かれ、まるで3つの派閥が共存しているような状態。久保建英、南野拓実、伊藤洋輝など、欧州クラブでも信頼される“実力派”たちがこぞって愛用している。

一方、かつて“絶対王者”だったナイキはわずか4人。それでもファントム(鎌田・上田)やティエンポ(板倉・瀬古)など人気シリーズは健在。勢力図では劣勢だが、“質”で見ればまったく引けを取らない。

ミズノは3人、アシックスは1人。日本の老舗ブランドもしっかり“侍たちの足”を支えている。

“サムライたちの選択”に見るスパイク哲学

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ナイキ「ティエンポ」のイメージ(イラスト/これ松えむ)

興味深いのは、ポジションやプレースタイルによってスパイクの“性格”が合っているように見えること。

スピード系アタッカーの三笘、堂安、前田らがプーマの軽量スパイク「ウルトラ」シリーズを選ぶのは納得。守備職人の板倉や瀬古は、フィット感と安定性を重視するナイキ「ティエンポ」。日本人の足型にマッチすると評判のミズノ「モレリア」シリーズは田中碧、守田、旗手らが着用。“通好み”感がある。

GKは「自由度」が高い分、個性が光る

鈴木彩艶:アディダス プレデター
大迫敬介:アディダス コパ ピュア
谷晃生:プーマ フューチャー

GKはポジション的に“走りまくる”わけではないため、よりフィット感や蹴り心地が重視される。鈴木が攻撃的なプレデター、大迫が伝統系のコパ、谷が機能重視のフューチャーと、見事に三者三様だ。

DFは「安定感」+「俊敏性」のハイブリッド思考

板倉滉&瀬古歩夢:ナイキ ティエンポ レジェンド
中山雄太:アシックス DSライト
伊藤洋輝:アディダス コパ

守備の要は、足元の「信頼感」が生命線。ティエンポやコパといったクラシックなスパイクは、まさに「ブレない男」の証し。中山のアシックスは、唯一無二の足型フィットを追求するこだわりの選択。

長友佑都:ニューバランス(フューロン v7+)

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ニューバランス「フューロン v7+」のイメージ(イラスト/これ松えむ)

代表最年長にして、唯一のニューバランス契約選手。まさに“レジェンドと共に歩む一足”。彼の存在は、今の日本代表において単なる“ベテラン”ではない。堂安律が「長友さんがいるだけで代表合宿の空気が変わる」と語れば、遠藤航も「影のMVP」と評すなど、チームの精神的支柱としての価値は絶大だ。そんな長友が履くニューバランス「フューロン v7+」は、“驚くほどの軽さ”と“加速性能”が武器のスパイク。40mを全力で何度も走る“縦突破型サイドバック”にとって、その軽さと瞬発力は欠かせない。スピードを武器に、今もなお世界と渡り合う長友には、まさに理想の相棒といえるだろう。

「年齢はただの数字」と言わんばかりに、今もピッチを駆け抜ける姿。その足元には、経験と哲学、そして“速さへのこだわり”が宿っている。

結論:足元は、嘘をつかない。

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左からプーマ「ウルトラ 5 アルティメット」/ナイキ「ティエンポ」/ニューバランス「フューロン v7+」のイメージ(イラスト/これ松えむ)

代表選手のスパイクを見れば、彼らの「選手としての信念」や「求める理想像」が浮かび上がってくる。それはただの契約や見た目だけじゃない。

毎日の練習、何百本ものシュート、何千回のダッシュ…そのすべてを支える「相棒」として、彼らは本気でスパイクを選んでいる。だからこそ、この“スパイク勢力図”は、ピッチの外で繰り広げられる「もう一つの代表争い」でもあるのだ。あなたが応援する選手の“足元”にも、次の試合ではぜひ注目してほしい。そこには、彼の戦う哲学が、ちゃんと現れている。

*Les informations contenues dans cet article sont à jour au moment de la publication.