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最多記録は11連勝!開幕ダッシュの歴史をプレーバック

2025年のプロ野球が開幕して1カ月が経過。ペナントレースを制するためには、序盤から勝ち星を積み上げて開幕ダッシュを決めることが重要だ。そんななか、今季のパ・リーグは開幕から優勝候補の福岡ソフトバンクホークスが不調で最下位に沈む一方、開幕ダッシュに成功したオリックス・バファローズが首位を走っている。そこで、プロ野球の長い歴史の中で驚異的な開幕ダッシュを遂げたチームを振り返りつつ、好スタートを切った理由や最終的な順位をまとめた。※トップ画像出典/Pixabay(トップ画像はイメージです)

Icon setodaiki ph 瀬戸大希 | 2025/05/02

開幕11連勝を達成!投打が充実した西鉄ライオンズ

いまだ破られていない開幕11連勝という最高のスタートダッシュを飾ったのは、1954年の西鉄ライオンズだ。“知将”や“魔術師”と呼ばれ、独自の野球理論を持っていた三原脩が率いたライオンズは、投打ともに戦力が充実していた。

打線は、前年ホームラン王の中西太や大下弘、関口清治といったパワーヒッターがそろったほか、スピードのある豊田泰光、成長著しい河野昭修らも活躍。課題とされていた投手陣は、長崎県・島原のキャンプで鍛えられて急成長。2年目コンビの河村久文と西村貞朗が先発と中継ぎもこなすフル回転の活躍を見せたほか、前年6勝に終わった大津守が復活を果たした。

3月27日の開幕戦で東映フライヤーズに打ち勝つと、投打が噛み合い続けて4月10日の近鉄バファローズ戦まで、開幕から負けなしの11連勝を達成した。6月に3位まで転落するものの、10月には打線が機能して再び10連勝。球団創立5年目で初のリーグ優勝を達成したのだった。

守り勝つ野球で11連勝を果たした中日ドラゴンズ

西鉄ライオンズに並ぶ開幕11連勝の記録を持つのは、1999年の中日ドラゴンズだ。

燃える男・星野仙一が率いた同年のチームは、豊富な投手力が光っていた。1997年に本拠地が広いナゴヤドームに移ったこともあり、投手力を整備。開幕投手を務めた若きエース・川上憲伸や山本昌、野口茂樹に加えて、前年のパ・リーグ最多勝を獲得した武田一浩が入団して先発陣は盤石。中継ぎ陣もルーキーの岩瀬仁紀や落合英二、サムソン・リーなど多彩にそろい、クローザーは前年に29セーブを挙げた宣銅烈が立ちはだかった。一方の打線は大物ルーキー・福留孝介を獲得した以外は、久慈照嘉、関川浩一といった機動力や守備力を重視した選手を補強。広いドームに対応できるチーム編成を組んだ。

4月2日の広島東洋カープとの開幕戦で、川上が好投し4-3で勝利すると、39年ぶりの開幕3連勝をマーク。すると、破竹の勢いで連勝を続けた。なかでも7番に入った井上一樹が絶好調で毎試合ヒットを放ち、打点を量産。ラッキーボーイ的な存在になった。また、開幕11連勝中に3点以上取られたのが1試合のみという驚異的な投手力を見せつけた。しかし、12連勝の新記録がかかった読売ジャイアンツ戦では相手エース・桑田真澄の交わすピッチングの術中にハマって3-7で敗北。記録更新とはならかった。5月に入るとやや低迷するものの、9月後半に8連勝を飾って独走状態に入ると11年ぶりのリーグ優勝を収めた。

球団タイ記録の開幕7連勝も、4位に終わったタイガース

前年まで4年連続最下位ながら、開幕7連勝を達成したのは2002年の阪神タイガースだ。同年より、ドラゴンズひとすじだった星野仙一が監督に就任。「負け犬根性を払拭する」と誓い、チーム全体に意識改革をもたらした。

打線はオリックスブルーウェーブから大砲のジョージ・アリアス、日本ハムファイターズからFA移籍した片岡篤史を補強。また、前年にルーキーながら39盗塁でタイトルを獲得した赤星憲広、打撃が向上した今岡誠を上位打線に並べた。投手陣は前年9勝をマークした若き左腕エース・井川慶を軸に藪恵壹、ムーア、谷中真二らが先発ローテーション入り。手薄ながらもなんとかローテーションを形成。闘将・星野の熱い教えもあり、オープン戦で優勝を果たすとシーズンでもその勢いに乗る。3月30日の読売ジャイアンツ戦で開幕投手に抜擢された井川が1失点完投の堂々たる投球を披露し、12年ぶりの開幕戦勝利を果たす。すると投打の歯車が合って横浜ベイスターズ、ヤクルトスワローズも倒して一気に7連勝。6月中旬まで首位の座を守って優勝への期待も高まったが、主力野手が相次いでケガをし、先発投手が足りなくなったところで防御率も崩壊。最終的には借金4の4位に終わり、10年連続Bクラスとなった。

開幕8連勝を飾るも、最終戦で優勝を逃したホークス

2022年の福岡ソフトバンクホークスも開幕ダッシュに成功したチームだ。同年は、藤本博史2軍監督が1軍新監督に昇格。若手と中堅を組み合わせたバランスの取れたチーム編成でペナントレースに臨むと、北海道日本ハムファイターズとの開幕戦で新外国人のガルビスが満塁ホームランを放ち、鮮やかな逆転勝利。その勢いに乗って8連勝をマークした。しかし、絶好調だった栗原陵矢、柳田悠岐、さらには三森大貴、中村晃らが相次いで離脱し、首位を返上。それでも自慢の総合力でカバーし、9月30日には貯金をシーズン最多の13個まで伸ばし、2位のオリックスバファローズと1.5ゲーム差を付けてマジック1とした。ホークスファンは優勝を確信していたが、最終戦で敗北。バファローズにまさかの逆転優勝を許してしまうのだった。開幕ダッシュこそよかったが、チームはなかなか波に乗れないままで終わった。