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開幕3連戦で見えたセ・リーグ6球団の期待と不安(前編)

3月28日より始まった日本プロ野球。セ・リーグは大型補強をした昨季の王者・読売ジャイアンツが優勝候補筆頭。さらに地力のある阪神タイガース、下剋上で日本一になった横浜DeNAベイスターズも上位進出を狙っている。そんななか、シーズンの勢いを決めるといっても過言ではない開幕3連戦で早くも6チームの明暗が分かれることに―。そこで各チームの戦いぶりとともに、プラス要素と不安材料について言及していく。前編では読売ジャイアンツ、東京ヤクルトスワローズ、横浜DeNAベイスターズの3チームについてお届けする。※トップ画像出典/photoAC

Icon setodaiki ph 瀬戸大希 | 2025/04/06

逆転勝ちの勢いで一気に3連勝したジャイアンツ

連覇を目指す読売ジャイアンツは東京ヤクルトスワローズと対戦。最高の開幕ダッシュに成功し、2020年以来5年ぶりとなる開幕3連勝を果たした。

チームを勢いづけたのは開幕戦。スワローズの先発・奥川恭伸から決定打を打てないまま、5点差で迎えた8回。2番に起用された新外国人のキャベッジが反撃の口火を切る1号2ランを放つと、9回には丸佳浩の代役で1番に入った若林楽人と吉川尚輝のタイムリーで同点に。そして10回に再び若林がレフトへ強烈な打球を放ち、サヨナラ勝ちを収めたのだ。

その勢いに乗って2戦目は13安打12得点で圧勝、3戦目は新加入のサウスポー・石川達也が5イニングを安定した投球で無失点に抑えて初勝利を挙げ、3連勝を成し遂げた。

若林、石川らの新加入組が躍動!補強した選手も大活躍

この3連戦を経て、昨季の覇者・ジャイアンツがより強さを増していることが明らかになった。一つは新加入した選手たちの活躍ぶりだ。

まずは、昨季にライオンズからトレードでやってきた若林。ライオンズ時代はケガに泣かされてレギュラーを剥奪されたが、思い切りのよいスイングと臨機応変な打撃スタイルを見出されて、結果を出した。また、横浜DeNAベイスターズを戦力外になるもジャイアンツに加入してローテーション入りを果たした石川も好投。ストレートと同じ腕の振りで繰り出される、緩く沈むチェンジアップはスワローズ打線を翻弄させた。また、グリフィンの発熱で急遽中継ぎから先発登板することになった赤星優志の力強い投球もプラス材料になったといえる。

それだけではない。FAで加入した甲斐拓也も2試合連続猛打賞をマークするなど、勝負強い打撃を見せ、リード面でも慣れない投手陣を引っ張った。また、近年の課題だった助っ人もキャベッジが大当たり。さらに、ドラゴンズの守護神だったライデル・マルティネスも新天地で圧巻の投球を披露した。

昨季までの現有戦力に加えて、新戦力が活躍しているジャイアンツは今後も快進撃を続けそうだ。

投手陣崩壊でまさかの開幕3連敗を喫したスワローズ

対するスワローズは、開幕戦で完全復活を期す若手エースの奥川が好投するものの、抑えの田口麗斗やセットアッパーの清水昇が不調でまさかのサヨナラ負け。悪い流れのまま、2戦目は吉村貢司郎、3戦目は高橋奎二がノックアウトされて3連敗を喫してしまった。打線も中心を担ってきた塩見泰隆、村上宗隆、山田哲人をケガで欠いており迫力がなく、2戦目と3戦目は0点に抑えられた。苦しいチーム事情が浮き彫りになり、今季も上位進出が厳しいと言わざるを得ない3連戦となってしまった。

抑えの確立が急務、朗報は赤羽のブレークのみ

唯一のポジティブ要素といえば、2020年育成ドラフト2位から這い上がってきた赤羽由紘の活躍だろう。開幕戦ではスタメンに抜擢されて、先制タイムリーを放った。また2、3戦目もコンパクトなバッティングでヒットを積み重ね、今季のキープレーヤーになっていきそうだ。

逆に不安なのは救援陣。右の清水と左の田口が不調で、唯一安定しているのは石山泰稚と木澤尚文のみ。しかし、2人のみでは長いペナントレースは勝ち抜いていけない。木澤も抑えの経験が乏しいだけに緊張感のある場面に耐え続けられるどうかも疑問符が残る。

スワローズは今季も投手陣に泣きそうだ。

自慢の打力よりも投手力が光ったベイスターズの3連戦

昨季は3位に終わるものの、クライマックスシリーズと日本シリーズを勝ち抜き、日本一に輝いた横浜DeNAベイスターズ。開幕3連戦は中日ドラゴンズと対戦し、2勝1敗でカード勝ち越しに成功。順調なスタートを切った。

開幕戦は、エース左腕の東克樹が貫禄十分のピッチングを披露。7回を4安打無失点に抑えた。ストレートはもちろん、カットボールやチェンジアップも冴え渡り、ドラゴンズ打線を沈黙させた。打線ではショートでスタメン出場した森敬斗、1番に抜擢された梶原昂希といった若手がドラゴンズのエース・髙橋宏斗を攻略した。

2戦目はバウアーが好投を見せるも惜敗したが、3戦目はサイドスロー右腕・平良拳太郎が5イニングを無失点でピシャリと抑えると、先発マスクを被った松尾汐恩がレフトへプロ初ホームランを放ち、ロースコアゲームを制した。バウアーで白星を取れなかったのは痛かったが、ベイスターズとしては十分すぎる開幕シリーズとなった。

期待の若手バッターが活躍し、打線に厚みが増す

開幕3連戦のプラス要素としては、若手バッターの活躍が挙げられるだろう。主軸を打つ牧秀悟や佐野恵太、筒香嘉智にエンジンはかからなかったが、期待の森、梶原、松尾にタイムリーやホームランが飛び出したことは好材料。ホークスからトレード加入した三森大貴らもおり、昨年以上の強力打線になっていきそうだ。

また、投手陣が若返りを見せた点も大きい。ストッパーに就任した入江大生が完璧な投球で9回を締めたほか、2年目の石田裕太郎や復活に燃える中川虎大らも中継ぎで結果を残した。彼らが機能すれば、伊勢大夢や山﨑康晃の疲労も減らしていけるだろう。

ジャイアンツ同様、開幕3連戦で戦力の厚みを見せたベイスターズ。今季も上位に食い込んでくることは間違いなさそうだ。