パリ五輪・日本人メダリストの活躍と注目の戦いを総括(大会13日目)
現地時間7月26日に開幕したパリ五輪も、8月11日の閉会式をもって17日間にわたる熱戦に幕が落とされた。ここでは8月8日(日本時間8月8〜9日)の大会13日目にメダルを手にした日本人選手たちの活躍や、注目選手の戦いぶりを振り返る。※トップ画像出典/Getty Images
須﨑優衣(レスリング女子フリースタイル50kg級/銅メダル)
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2014年の国際大会デビュー以降、対外国人選手94戦無敗で迎えた須崎優衣の五輪連覇の夢は、あっけない形で潰えることとなった。
フリースタイル50kg級に出場した須崎は1回戦でビネシュ・フォガット(インド)と対戦した。序盤から守備的な姿勢を貫くフォガットに対して攻め手を欠くも、アクティビティタイムによる2点のリードを奪い、2-0のスコアで試合は終盤に。しかし、最終盤に猛攻を仕掛けたビネシュにバックを取られた須崎は2-3とされて逆転負けを喫し、まさかの初戦敗退に終わった。
1回戦敗退でパリのマットを去る可能性もあった須崎だったが、フォガットの決勝進出決定を受けて、敗者復活戦への進出が決定。フォガットに準決勝で敗れたジュリスネイリス・グスマン・ロペス(キューバ)との対戦が予定されていたが、決勝戦を控えたフォガットが軽量オーバーにより失格に。ロペスが繰り上がりで決勝に進むことになり、須崎は敗者復活戦を戦わずに3位決定戦へと駒を進めることとなった。3位決定戦では、オクサナ・リバチ(ウクライナ)と対戦した。ビネシュに準決勝で敗れたリバチに対して得意のタックルで積極的に攻める須崎は、第1ピリオドを終えるまでに8点のリードを奪うと、後半も2点を追加して10-0でテクニカルスペオリティ勝ち。全大会王者の貫禄を存分に見せつけて、銅メダルを手にした。
レスリング 男子グレコ77キロ級 日下尚 金メダル
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レスリング男子グレコローマンスタイルの77kg級に、世界ランキング1位の日下尚が出場した。五輪初出場の日下は、初戦でアブデルクリム・オウアカリ(アルジェリア)を9-0で下して最先のよい滑り出しを見せると、準々決勝のアラム・バルダニャン(ウズベキスタン)に対しても12-2と圧倒し、2試合連続のテクニカルスペリオリティ勝ちで力の差を見せつけた。世界ランキング4位のマルハス・アモヤン(アルメニア)と対戦した準決勝では、日下は1-1で迎えた第2ピリオド早々に相手のバックを取って2点を奪うと、そのリードを守り切って3-1で勝利し、決勝進出を果たした。
金メダルを懸けた決勝では、34歳のベテラン、デメウ・ジャドラエフ(カザフスタン)と相見えた。世界ランキング7位の相手に対して序盤から押し込まれた日下は、0-2とリードを許して第1ピリオドを終えた。得点が欲しい日下は第2ピリオドにジャドラエフを猛追。圧力をかけて果敢な攻めから崩し技を決め4点を奪って逆転すると、さらに1点を追加して5-2で勝利し、金メダルを獲得した。
陸上男子3000m障害 三浦龍司 8位
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陸上男子3000m障害に出場した三浦龍司は、8分11秒72の8位で決勝のレースを終え、7位だった前回に続いて2大会連続の入賞を果たした。
予選2組にエントリーした三浦は、持ち前の伸びやかな走りでハイペースな展開に食らいつき4位で決勝進出を決めると、決勝でも序盤から果敢な走りを見せ、最初の1000mを全体の8位で通過。中盤に一時は13位付近に順位を下げたものの、最後の1周で盛り返して8分11秒72の8位でゴールテープを切った。なお日本の青木涼真は、終盤の追い上げも及ばずに8分29秒3のタイムで予選8着となり、上位16名による決勝に進むことはできなかった。
陸上男子200m 鵜澤飛羽 準決勝敗退
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陸上男子200mに出場した鵜澤飛羽は、2000年のシドニー五輪で末次慎吾が記録した日本人の五輪最速タイムの20秒37を上回る20秒33を出して予選3着でフィニッシュし、同種目としてはロンドン五輪以来3大会ぶりの準決勝進出を果たしたが、同種目初の決勝進出はならなかった。
決勝進出に向けて、準決勝ではさらなる好タイムを期待された鵜澤だったが、序盤の入りは良かったものの、最終ストレートでは伸び悩んで20秒54の6位でフィニッシュ。上位2着までと、3着以下の上位タイム2名が進むことができる決勝進出を逃した。
アーティスティックスイミング 5位
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2018年にシンクロナイズドスイミングからアーティスティックスイミングに名前を変えたこの競技は、8人編成のチーム(※)によるテクニカルルーティンとフリールーティン、そして今大会から加わったアクロバティックルーティンの3種目による合計点で順位が争われた。
(※)比嘉もえ、木島萌香、小林唄、佐藤友花、島田綾乃、和田彩未、安永真白、吉田萌
第1種目:「テクニカルルーティン」 3位
初日のテクニカルルーティンに「雷」をイメージしたプログラムで臨んだ日本代表は、巧みな足技を生かした技を次々と披露したものの、一部の演技が認められずに一時は6位に。しかし減点に対する日本チームの抗議が認められ、この種目を3位で終えることとなった。
第2種目:「フリールーティン」 4位
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2種目目のフリールーティンでは、「チェス」をテーマしたダイナミックなプログラムを披露したが、序盤のリフト技が認められずに得点は伸び悩み、4位に順位を下げた。
第3種目:「アクロバティックルーティン」 7位
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今大会より採用されることになったアクロバティックルーティンは、ジャンプやリフトに代表される、ダイナミックな技の完成度や表現力を競い合う種目。日本は「アリゲーター」をテーマにした力強い演技を見せたが、得点は伸び悩んで7位。3つのプログラムとの合計で5位に終わり、2大会ぶりのメダル獲得はならなかった。