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SPIKE WARS - Chapitre 7 Un jour est Morelia (deuxième partie) -

Comparaison de grenaillages entre deux fabricants

Icône kanekoOr Daren | 2016/07/18

Pouce




〔CHAPTER7・いつかはモレリア(後編)〕


【Acteur】
Auditeur (Département éditorial)
Maître Nagai (Hideki Nagai = Tokyo Verdi 1969 =)

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◆ミズノ「モレリアⅡ」を試し履きする永井秀樹。


──さあ、マスター・ナガイ、実際にモレリアでボールを蹴ってみての印象はいかがでしょうか。
Maître Nagai「ここまでいろいろなスパイクを履かせてもらってわかってきたのは、俺の場合、まず問題点に意識がいっちゃうんだよね」

──ああ、それはそうかもしれません。実に感じが悪い(笑)。
Maître Nagai「じゃなくて(笑)。ま、一応それなりに経験を積んできてるんで、どうしてもいままで自分が履いてきた最高のスパイクと比べちゃうんだよね。もちろん、時代の流れと共にスパイクも進化してはいるんだろうけど、足を入れた瞬間の感覚っていうか、そういうのは割と昔の印象が残ってるもんでさ」

─ ─ Je vois.
Maître Nagai「で、このモレリアに関してもいろいろ俺なりにアラを探そうとしてるんだけど、どうやっても問題点が見つからない(笑)」

──クラブハウスでの試着の際におっしゃっていた、軽さについては?
Maître Nagai「あ、それはやっぱりあるかも。もうちょっと重くてもいいっていうのが正直なところ。
だけど、それは不満とかいうレベルでは全然なくて、“理想を言えば”ってとこかな。世界中のメーカーがいろんなスパイクを発売してるけど、これは文句なしに世界トップレベル、ワールドクラスだね」

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Maître Nagai「こりゃメルセデス」


──おお、最大級の賛辞ですね。
Maître Nagai「前にプーマやアディダスのスパイクを試着した時、“よくできた国産車みたい”って言ったの覚えてる?」

──もちろんでございますとも。すべてがバランスよくできてる。ただし、突出したところは見当たらない‥‥といったニュアンスでございました。
Maître Nagai「そう。でね、モレリアを履いてみて思ったのは、こりゃメルセデスだなってこと」

── Qu'est-ce que ce coeur?
Maître Nagai「すべてが最高級。ドイツ人の作ったスパイクが日本車みたいで、日本人が作ったスパイクはドイツ車みたいっていうのが、俺としては不思議なんだけど」

─確かに。ただ、ドイツ車の高性能が速度無制限のアウトバーンによって培われたものだとするならば、
芝生だけでなく、東日本の柔らかい土、西日本の硬い土など、さまざまなサーフェスに対応しなければならない日本のスポーツメーカーが、否応なしに技術力を高めていったという面はあるのかもしれません。
Maître Nagai「かもね。初めて九州以外のグラウンドでプレーした時は、俺も戸惑ったもんなあ。
そもそも、関東とか土の色自体がまるで違うし」

──それにしても、やっぱりマスター・ナガイはこういう古典的な天然皮革のスパイクがお好きなんですねえ。
Maître Nagai「それは否定しないけど、ただ、今回改めて思ったのは、さっき履いたプーマのエヴォスピードとか、ああいうひたすらに軽量化を追求するスパイクって、クルマにたとえるとハイブリッド・カーなのかなってこと」

─ ─.
Maître Nagai「クルマを選ぶ際に一番重要なのは燃費だってヒトにとって、ハイブリッドって最高のクルマじゃない? 俺はインサイトやプリウスに乗ってたこともあるけど、そうじゃない人、たとえばお宅の達ちゃん(発起人K)みたいに、クルマにスポーツ性や娯楽性を求める人からすると、プリウスみたいなクルマは絶対に購入の選択肢に入ってこないわけでしょ」

──ああ、よく言ってますねえ。ハイブリッドが地球に優しいっていうのは、ニコチン1ミリグラムのタバコなら身体に優しいって言うのと一緒だって。ハイブリッドだってガソリンは消費するし、1ミリグラムのタバコだって肺にはダメージを与えてるって。
Maître Nagai「ま、それはともかくとして(笑)。
燃費競争だったらメルセデスは絶対にプリウスにかなわない反面、乗り心地や安定感の比較なら答えはまた違ってくる。どちらを選ぶかはその人の主義や嗜好、それまでの経歴次第でしょ?」

──ですね。
Maître Nagai「そもそも、自動車雑誌がメルセデスのSクラスとプリウスを比較対決させることなんかまずありえないわけで、そう考えると、このスパイク・ウォーズもいずれは細分化というか、超軽量スパイク部門とか、天然皮革部門とか、あるいは1万2000円以下部門っていった具合に、似たようなスパイクを集めて比較していった方がいいのかもね」

──何やら企画の方向性にまで関わる、壮大なお話になって参りました。
Maître Nagai「それぐらいいいスパイクだってことだよ、やっぱり、いつかはモレリア、だね」

(Au prochain numéro / couverture de la coopération · Tokyo Verdi 1969)

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