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U-23日本代表FW細谷真大、MF荒木遼太郎ら金メダル獲得へ誓い「日本に明るいニュースを届ける」【パリ五輪代表関東圏6選手による記者会見】

パリ五輪に臨むU-23(23歳以下)日本代表は、7月15日に現地へ出国し、本戦へ向けて着々と準備を進めている。日本時間18日午前4時5分からは、最後のテストマッチとしてU-23フランス代表と試合をする予定だ。そこで今回は、3日に行われた、日本代表のメンバーに選ばれた関東圏の6選手による記者会見の模様をお届けする。(写真左から)大畑歩夢(浦和レッズ)、関根大輝、細谷真大(いずれも柏レイソル)、野澤大志ブランドン、荒木遼太郎(いずれもFC東京)、平河悠(FC町田ゼルビア)が登壇。彼ら6名の競技経歴や、パリ五輪代表に選出された時の気持ち、本戦に向けた意気込みのコメントを紹介する。※メイン画像:筆者撮影

Icône 1482131451808Principal Sato | 2024/07/17

【GK・背番号12】野澤大志ブランドン(21)FC東京

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筆者撮影
沖縄県出身の野澤大志ブランドンは、193センチの高身長を生かしたセービングを武器に、所属しているFC東京で昨季からレギュラーに定着。2017年から年代別の日本代表に選ばれ、A代表としても、今年の元日に行われたタイとの強化試合(東京・国立競技場)で初めてメンバーに選出された。まだ日本代表としての出場機会はないが、未来のサムライブルーの守護神としての期待は大きい。

パリ五輪代表選出の瞬間は、「チームの活動で、西東京市立東小学校に訪問していた」という野澤。「本当に特別な瞬間で、すごく嬉しかった」と喜びを語ると、「このチームは優勝を目標にオリンピックに行く。簡単なことではないけど、ひとり分の力じゃなく、ふたり分、3人分の力を練習の時から発揮していけるよう、エネルギッシュに戦っていきたい」と力強くコメントした。

また野澤には、5月4日(日本時間3日)にカタールで行われた、ウズベキスタンとのパリ五輪アジア最終予選(以下、アジアカップ)決勝で出番がなかった悔しい思いがある。

「小久保(玲央ブライアン)選手がPKを止めてくれて、優勝をもたらしたところに喜びもあり、刺激も受けた。個人的には苦い思い出でもあるけど、それを通して前に進めたし、強くなれた。もう、あの時の自分ではないと思っている」

だが、よっぽどのことが起こらない限り、ピッチに立てるGKはただひとり。鈴木彩艶(シントトロイデン)が招集外となり、正GKは小久保が有力とされている。それでも野澤は、チームの勝利に全力を注ぐ。

「GKは勝つために重要なポジション。オリンピックでもキーパー同士協力し合い、相手がどこであれ、持ってる実力を100%発揮し、試合に出たらチームに勝利をもたらせるように」

パリ五輪でのゴールマウスを、チーム一丸で、そして“ふたりの守護神”で守り切る。

【DF・背番号16】大畑歩夢(23)浦和レッズ

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筆者撮影
浦和レッズの大畑は、身長168センチと小柄ながらも、粘り強い守備と積極的に攻撃に参加するプレースタイルが特徴の選手だ。もともとはサガン鳥栖の下部組織出身で、2020年にトップチームへと昇格。2年後に浦和に移籍し、その後2シーズンはなかなかレギュラーの座を掴むことはできなかったが、U-23日本代表として臨んだアジアカップでは好プレーを見せ、大岩ジャパンのサイドバックとして欠かせない選手へと成長している。

代表発表は「自宅で見ていた」という大畑は、「日本代表のために泥臭く戦って、日本にメダルを持ってこれるように頑張りたい」と意気込む。

飛躍の場ともなったアジアカップでは、「チーム全員の力を出せたし、1試合ごとにレベルアップできていた。その結果がアジアチャンピオンだと思う」と手応えをつかんだ様子。それでも「オリンピックはもう一歩、さらにレベルが上がる大会になる。そこは本当に責任を持って、1人ひとりがやれたら結果はついてくるはず」と油断も慢心も一切ない。

「守備面では、1対1(デュエル)はアジアの舞台でも通用していた。そこをさらにJリーグの舞台でやるところは意識してきたし、攻撃の部分でも数字を残すために取り組んできた。(パリ五輪では)個人として結果、数字を残したいし、チームとしても本当にメダルを取りに行く。そこは期待して見てほしい」

夏の本戦前、最後のJリーグの試合となる7月14日の京都サンガF.C.戦(サンガスタジアム)ではフル出場。攻守で存在感を発揮し、順調な調整ぶりを見せた大畑。大岩ジャパンの貴重な左利きサイドバックとして、縦横無尽に動き回る。

【DF・背番号4】関根大輝(21)柏レイソル

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筆者撮影
同じくサイドバックとして招集された柏レイソルの関根大輝は、186センチという高身長を武器としたディフェンスと攻撃参加が持ち味。高校卒業後からのプロ入りは叶わなかったものの、進学した拓殖大学でサイドバックとして頭角を現し、同大卒業後の2025シーズンからの柏入りが内定。だが、前年開催のパリ五輪を見据えていたこともあり、1年前倒しで2024シーズンから加入することが決定。拓殖大関係者も快く送り出した。

開幕からレギュラーとして試合に出続けた関根は、U-23日本代表でも主力として定着。アジアカップ優勝にも貢献し、「普段味わえないような緊張感を1試合目から味わうことができた。そしてチャンピオンにもなれて、自分自身成長できた」と自信をつけて帰ってきた。

大岩監督から名前を呼ばれるのを、クラブハウスでYouTubeを見ながら待っていたという関根は「すごくホッとした。非常に嬉しい気持ちでいっぱい」と胸をなで下ろす。チームメイトで同じく代表入りした細谷真大とは「本当は一緒に(代表発表を)見ようと思ったけど、真大くんがケアを入れていたから、一緒には見れなかった。その後、ロッカールームで喜んで、あらためてふたりでオリンピックに行けることに喜びを感じた」と笑顔で話した。

オーバーエージ(OA)枠での招集がなかったことについては、「特に気にはしていない」という関根。「僕たちはU-23の選手たちだけでアジアカップを優勝した。OAの選手がいなくても戦っていける自信がある。みんなの特徴はわかっているし、みんなも僕の特徴をわかってくれている。そういう意味では一体感も高まるし、プレーしやすい良いチームだと思う」とチームメイトへの信頼は厚い。

そしてパリの地では、アジアカップ以上に攻撃面にも力を注ぐ。

「アシストの部分にはこだわってやってきた。1番多くアシスト数を記録して、最高の結果を得て日本に帰りたい」

右サイドバックからの多彩なクロスで、多くのチャンスを生み出していく。

【MF・背番号13】荒木遼太郎(22)FC東京

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筆者撮影
FC東京の荒木遼太郎は、“センスの塊”と評されるほどのアイデアあふれ、精度の高いパスが大きな魅力の選手だ。その視野の広さでつねにゴールに絡み、攻撃の中心としてチームのオフェンスを活発化させている。

彼の存在感は、プロ入り後から圧巻だ。2020シーズンより鹿島アントラーズに入団すると、元日本代表・内田篤人以来となる高卒1年目での開幕戦出場を記録。翌年には元日本代表・城彰二以来27年ぶりとなる3試合連続ゴールを決め、同シーズンでは再び城以来となる10代での2桁ゴールを達成した。今シーズンからはFC東京に活躍の場を移し、すでに6得点と結果を出している。

U-23日本代表でも中心選手の荒木だが、パリ五輪代表に選ばれた瞬間は「ホッとして、嬉しい。それと同時にプレッシャーもあって、ふたつの気持ちがあった」という。その中でも気持ちは強く持っており、「チームのために、そして日本のためにも、人一倍走って責任を持ってプレーし、ゴールだったり質だったり、結果にこだわりながらやっていきたい」とまっすぐな目線で語った。

アジアカップには6試合中5試合(うち3試合はスタメン)出場し、1ゴール2アシストを記録。得意な攻撃面でチームを牽引した荒木は「1試合1試合、チームに団結力がついて、勝負強さも出てきた。オリンピックでも試合を重ねるごとにチーム力をつけていけば、またいい結果がついてくる」と大岩ジャパンの成長を実感している様子。自身の役割も「中盤で受け、攻撃を組み立てる。それが自分の良さをさらに引き伸ばす」と理解している。

「優勝を目指し、日本にいいニュースを、明るいニュースを届けたい」

言葉数は少ない荒木だが、表彰台に上がることに対しては、誰よりも飢えている。

【FW・背番号17】平河悠(23)FC町田ゼルビア

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筆者撮影
FC町田ゼルビアの平河悠は、主に左のサイドアタッカーとして、切れ味鋭いドリブルと相手をサイドから抜き去る抜群のスピードが武器のFWだ。高校、大学時代はほぼ無名な存在ではあったが、2023シーズンから町田に加入すると一気に頭角を現し、35試合6ゴール4アシストと活躍。クラブ初のJ1リーグ昇格に貢献した。U-23日本代表でも、アジアカップで全6試合に出場するなど、攻撃陣の一角として輝きを放っている。

パリ五輪代表記者会見はクラブハウスの食堂で見ていたといい、「自分の(U-23の)チーム内での立ち位置が正直わからなかったから、本当に嬉しい」と平河。OA枠についても触れ、「チームとしても、各々の能力にしても積み上げてきたものがある。それをみんな理解している部分は大きなメリット。(24歳以上の選手が)いないからと言って他国より劣る、ということにはならない」とOA枠を使用しないことによるチーム力低下を否定した。

他のチームメイトと比べても、順風満帆な競技人生を歩んでいるわけではない平河。だが、そんなキャリアだからこそ、パリ五輪への想いは人一倍強く持っている。

「自分がパリ世代という認識はなかったし、そもそもプロとしてすぐに活躍できるなんて思っていなかった。ずっと代表と縁はなかったから、オリンピックを目指す意識も低かった。けど、昨年6月に(年代別の日本代表に初めて)選ばれて、しっかりアピールできたからその後の結果につながった。今後(夢や目標に対して)縁がないと思っている人にも、チャンスがあるのかなと思ってもらえるような選手になりたい」

その中で、町田ゼルビアは7月9日、平河のイングランド2部、ブリストル・シティへの期限付き移籍を発表。U-23日本代表に合流する直前に、ポルトガルで行なわれた同クラブの合宿に参加した。このタイミングでの新天地への挑戦は、今後のA代表入りを見据えての決断だろう。新たな刺激を得て、パリ五輪での躍動を誓う。

「ゴール前の質だったり、自分の特徴を最大限に出して、90分間ハードワークしていきたい。まずはこのパリ五輪にかける想いをしっかり出し、その先(A代表入り)にも踏み込んで行けるような大会にしたい」

日本代表の三苫薫を彷彿とさせる、一気に加速して相手を抜き去るドリブルで、金メダル獲得への道と、自身のサッカー人生を切り拓く。

【FW・背番号11】細谷真大(22)柏レイソル

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筆者撮影
そして最後は、柏レイソルではもちろん、U-23日本代表でもエースストライカーを担う細谷真大だ。その強靭な体と瞬発力を武器に、絶対的なセンターフォワードとして君臨している。細谷は2020シーズンに柏のトップチームに昇格。2年後に開幕スタメンを勝ち取ると、シーズンで8ゴール4アシストを記録し、元日本代表・酒井宏樹、日本代表・中山雄太(イングランド2部・ハダースフィールド)に続く、クラブ3人目のベストヤングプレーヤー賞を受賞した。

年齢制限のないA代表にも度々招集されており、昨年11月に行われたワールドカップ・アジア2次予選のシリア戦で、左足のボレーで自身代表初ゴールを決めている。U-23日本代表では、アジアカップ準々決勝、準決勝と負けたら終わりの大一番でゴールネットを揺らし、パリ五輪出場権獲得に大きく貢献した。

しかし、アジアカップでの結果(6試合2得点)には納得していない様子で、「もっと(得点を)取れたなと。決定力が課題として出たので、夏の本戦へはそういう後悔がないようにしっかり頑張りたい」とパリでの戦いに向けてリベンジを誓った。

その五輪代表発表時は、柏のチームメイト・関根と同じクラブハウスで、ケアを受けながら名前を呼ばれるのを待っていた細谷。「すごく嬉しい。責任を持ってプレーしたい」と感想を述べ、「レイソルの代表として行くので、しっかり結果にこだわってやっていけたら」と所属クラブの看板を背負って試合に臨む。

ピッチ上では「どちらかと言えば(言葉より)プレーで引っ張っていくタイプ」だという。「つねに結果を追求していきたいし、仲間からの信頼も結果を残すことでついてくる。そこを意識しながら、FWとして数多くゴールを取りたい」とエースとして強い覚悟をうかがわせた。

「オリンピックに出るだけじゃなく、金メダルにこだわってやっていく」

日本をゴールで勝利に導くエースストライカーが見据えるのは、たった1チームしかたどり着けない表彰台の“てっぺん”だけだ。

18日未明、U-23フランス代表と腕試しへ!

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筆者撮影
大岩ジャパンは7月17日午後9時5分(日本時間18日午前4時5分)、パリ五輪開幕前の国際親善試合として、ティエリ・アンリ監督率いる開催国のU-23フランス代表と現地(フランス・トゥーロン)で対決する。本戦に向けて、選手たちのコンディションを見極めるという意味では重要な試合になるだろう。

パリの地で彼らが飛躍する姿を想像しながら、どのような戦いを繰り広げるのか、しっかりと見届けたい。