【解説】日本史上初の快挙!“フェンシング女子サーブル団体”銅メダル
エースの江村美咲が開会式の旗手に選出されるなど、注目度の高かったフェンシング女子サーブル団体に出場した日本チームは、3位決定戦で世界ランキング1位のフランス代表と対戦し、45-40で勝利を収めて銅メダルを獲得した。※トップ画像出典/Getty Images
画像作成/これ松えむ
サーブル競技は両腕と頭部を含む上半身が有効面で、突きに加えて斬りの攻撃が認められている点があり、スピード感のある試合が展開される。競技に使用する剣は、フルーレよりモダン面が細く、T字型の断面が特徴となっている。団体戦では1チーム3人+リザーブで3分間の試合を9試合が行われ、最終的な合計ポイントを競う。
画像作成/これ松えむ
初戦の準々決勝で、日本チームはサーブル競技発祥の国でもあるハンガリー代表と対戦した。一進一退の攻防が続く中で、第5試合に福島史帆実が9-0でハンガリーを突き放すと、最後の第9試合でエースの江村が45点目を奪い、45-37で勝利を収めた。
続く準決勝では今大会の銅メダリストで、ロシア出身選手との握手を拒否したことでも話題を呼んだオリガ・ハルランを擁するウクライナ代表と対戦した。世界ランキング8位の日本を上回るランク3位のウクライナに対して序盤からリードを許した。日本は、第4試合に高嶋理紗が9得点を奪って一時は逆転したが力の差を見せつけられて32-45で敗戦。銅メダルを懸けた3位決定戦に進むこととなった。
Source/Getty Images
3位決定戦では、地元の声援を受ける世界ランキング1位のフランス代表と対戦した。序盤はフランスがリードする流れで試合は進んだが、準決勝の途中で交代出場した尾崎世梨が第3試合に連続ポイントを決めて15-10とし、フランスを逆転。一度フランスにスコアをひっくり返されるも、今度は高嶋理紗が第7試合に6点差をつけて脅威の粘りを見せるフランスを振り切ると、第9試合の江村が45点目を獲得し、シーソーゲームにピリオドを打った。45-40でフランスに勝利した日本チームは、サーブル種目で初めて五輪のメダルを獲得した。
<パリ五輪の戦績>
★準々決勝 ハンガリー代表/○45-37
第1試合:○高嶋理紗5-3
第2試合:●江村美咲 5-6
第3試合:●福島史帆実 1-6
第4試合:△高嶋理紗 5-5
第5試合:○福島史帆実 9-0
第6試合:△江村美咲 5–5
第7試合:●福島史帆実 5-8
第8試合:○高嶋理紗5-4
第9試合:○江村美咲 5-0
★準決勝 ウクライナ代表/●32-45
第1試合:●高嶋理紗3-5
第2試合:△江村美咲 5-5
第3試合:●福島史帆実 3-5
第4試合:○高嶋理紗 9-2
第5試合:●福島史帆実 2-8
第6試合:●江村美咲 3–5
第7試合:●尾崎世梨4-5 (OUT→福島史帆実)
第8試合:●高嶋理紗2-5
第9試合:●江村美咲 1-5
★3位決定戦 フランス代表/○45-40
第1試合:●江村美咲 4-5
第2試合:●高嶋理紗 3-5
第3試合:○尾崎世梨 8-3
第4試合:△高嶋理紗 5-5
第5試合:●江村美咲 3-7
第6試合:○尾崎世梨 6–5
第7試合:○高嶋理紗 6-0
第8試合:●尾崎世梨 5-7
第9試合:○江村美咲 5-3
<Profil>
パリ五輪を戦ったメンバーは、江村美咲選手、高嶋理紗選手、福島史帆実選手、リザーブ尾崎世梨選手の4名。世界ランキング2位の江村美咲は開会式で旗手を務め個人戦でのメダル獲得が期待されたものの、まさかの3回戦敗退に終わった。本大会での女子団体チームの銅メダル獲得は、日本サーブル界初の快挙となった。