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「大事なのは、その環境を戦い抜くこと」元日本代表が語る、U20世代に必要なものとは?

2月26日U-20日本代表は「AFC U20アジアカップ中国2025」の準決勝でU-20オーストラリア代表と対戦した。アジア王者を目指していた日本だが、後半に2点を失い、ベスト4にとどまった。 今回は惜しくも優勝を逃した2006年大会にフォーカス。同大会で活躍した内田篤人と柏木陽介両氏が活躍した対談から、U20世代に必要なものは何かに迫った。※トップ画像出典/Getty Images

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海外組2人に欧州移籍決定1人──すでにこの世代にいるのはすごい

2025年2月開幕した「AFC U20アジアカップ中国」。アジアナンバーワンを決める戦いであるとともに、ベスト4に進出(グループ1位通過)したチームには「U20ワールドカップ」への出場権が与えられる重要な予選。船越優蔵監督率いる若き日本代表は、王者こそ逃したもののベスト4に進出したを果たした。

今回、代表に招集されたメンバーには、ニック・シュミット(ドイツFCザンクトパウリ U19)と道脇豊(ベルギー2部・SKベフェレン)という2人の海外組がいる。さらに、イングランドプレミアリーグ「サウサンプトンFC」入りが決定している高岡伶颯もいた。

この世代で、すでに海外組がいることに両氏ともに「すごい」と感慨深げだ。内田氏は「背はそんなに高くはないんですよ。キュンキュンする感じ」と高岡選手を紹介。柏木氏も「性格もすごい。ガッツがある」とゴールシーン映像を見ながら評価した。

「いいサッカーをしていた。強かった」

日本はグループDで、第1戦タイ、第2戦シリア、第3戦に韓国が控えていた。日本は第1戦の韓国戦に勝利、その後のシリアと韓国とは引き分け、グループ2位でベスト4に進出した。

U20に「調子乗り世代」というネーミングが確立したのは、内田氏や柏木氏がU20代表だったころ。内田氏が「カナダの時だよね。うるさいやつらが多かった。柏木さんと安田さんでしょ?」と話を振れば、柏木氏は「ウッチー(内田氏)筆頭に安田、槙野、デカモリシマ…」と、後のA代表メンバーとなる選手名を挙げ「いいサッカーをしていた。強かった」と懐かしんだ。

「調子乗り世代」だけに怒られた経験もある。当時、吉田靖監督と森保一コーチに怒られたという内田氏。「みんなで体操して、散歩して、ストレッチするんですよ。選手がぺらぺらしゃべりながら、誰かのことをクスクス笑いながら話していたんです。そしたら監督がぶち切れ『もうずっと呼ばねえぞ!』って毎回怒られていましたね」。柏木氏も「ポルトガルで練習に遅刻して、ずっとランニングしていました」。

「AFCユース選手権2006年大会」の内田&柏木のプレーは

両氏は出場したアジアカップの前身「AFCユース選手権2006年大会」準々決勝の映像を見ながら振り返る。インドで行われたこの大会、対戦相手はサウジアラビア。勝てばU20ワールドカップの出場権を獲得できる、重要な一戦だった。90分、土壇場で勝ち越しゴールを奪った日本が準決勝進出を決め、ワールドカップ出場が決定した。

準決勝の相手は韓国。スタメンは前戦と全く同じ。開始34秒で失点し、1点ビハインドでハーフタイムへ。香川真司を投入すると、香川選手からのパスで同点に追いつく。内田選手も韓国の決定弾をゴール前で弾き返すなど、ファインプレーを見せた。

延長前半で勝ち越すも、延長後半に同点に追いつかれる。PK戦の末に勝利し、韓国との死闘を制した日本が決勝進出を決めた。残念ながら、決勝は北朝鮮にPKで敗北した。

U20世代へ提言するタフな環境への適応

映像を見ながら内田氏は「A代表みたいに、全部いいホテルに泊まれるわけじゃない。かなりガッツがいる」と当時の環境を回顧。「全員みそ汁の素とか、マヨネーズとか、ふりかけを持参していました。(現地の)野菜とか食べちゃダメなんです。水も…よくそれで体調を崩さなかったな」と柏木とともに、アジア遠征での苦労を語った。

内田氏は「飛行機移動でロストしてもいいように、試合ができるスパイクだけはリュックに持って乗っていた。A代表は全部用意されていますけどね。大事なのは、その環境を戦い抜くこと。タフな環境で自分たちが強くならないと、A代表にはたどり着けない」と、U20世代が生き抜くために必要なことを語っていた。

 


「DAZN内田篤人のFOOTBALL TIME#218 」より

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