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「町田から世界へ」 J1町田の快進撃を支えた”平河悠”のスゴさ

パリ五輪に代表として戦ったFW平河悠。大学在学中に町田に入団し、J1昇格に大きく貢献。チーム初となる生え抜き選手の海外移籍を果たした。2024年のゴール解説から、移籍直前のインタビューまで幅広くお届けする。※トップ画像出典/GettyImages

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町田のJ1快進撃を支えた平河の活躍を振り返る

2024年、J1を戦う町田にとって、平河は欠かせない存在だった。

まずは第3節の鹿島戦。試合開始直後から、平河選手は存在感を発揮。相手のミスタッチやクリアボールに反応して、何度もチャンスを作り出した。前半13分、チャンスボールに冷静に対応し、J1初ゴールとなる先制点をもたらすシュート。積極的な守備からボールを奪い、パスを繋げてゴールを決める一連の隙のなさは、町田の今シーズンを象徴するプレーだった。試合後は自身のプレーを解説する「ゼルビアナライズ」に登場。平河は「ボールを奪ってからのショートカウンターでしたけど、海くん(柴戸海)が翔太(藤尾翔太)にダイレクトでパスを通せたのがキーポイントだったと思います。自分のプレーも含めて、しっかりと決められで良かったです」とゴールシーンを解説した。

J1強豪相手の勝利に対しては「『点を取りたい』という気持ちはいつもよりありました。鹿島相手に勝ちたいという気持ちがプレーにつながったと思います」と振り返った。

2024年は「明治安田Jリーグ KONAMI月間MVP」の2・3月度(J1)の受賞選手となったことを始め、シーズン序盤から大活した。

2ゴール目は、5月26日の第16節浦和戦。日本を代表するGK西川周作から奪ったものだった。後半7分、羅相浩からのパスをトラップしてシュート。西川選手に一度は弾かれるが、こぼれ球を冷静に流し込み、先制点を決めた。

試合後にゼルビアナライズに登場し、「羅相浩がいい形で顔を上げて、目が合いましたね。ほしいところにボールが来たから、左足で打てるようにトラップし、多少浮いちゃいましたけどイメージ通りに決められて良かったと思います」と解説した。

チームメイトから元日本代表まで、賞賛される平河の技術と人間性

頼れる平河のプレーを絶賛するのが、元日本代表FWの李忠成だ。開幕直後から、ゼルビア快進撃のキーマンとして平河選手の名を挙げていた。李は「こんな選手いたのか、と驚いたくらい前半戦から活躍している」と、真っ先に第3節鹿島戦でのゴールを評価した。

「特にあのゴールは大好きです。ファーストタッチがすごく難しいトラップだったんですよ、ボールが浮いてるので。体とボールを一緒に持っていくことをサッカー用語で『ランウィズザボール』と言うんですけど、走りながらボールの速度を落とさない技術が優れている」と解説した。さらに絶賛は止まらず「僕はしっかり評価したいと思います。このトラップは素晴らしかった、と。選手は自分じゃ言えないと思うんです。だから僕は誉めたい」と笑顔で話した。

平河は、チームメイトからの評価ももちろん高い。MF下田北斗は、日常からプレーを意識していること尊敬し「サッカーに対して熱量を持っていますし、サッカーに集中して普段の生活をしているのがわかります」と話した。

下田はこれまで多くの選手とコミュニケーションを交わし、中身を理解することを大切にしてきた。その中で「食事中の会話でさえプレーの話題が多く、あまり他のことに意識が向いていないです」と、一心不乱にサッカーに向き合う姿勢が見られたという。

海外で多くの経験を積み重ねてきたFWエリキ・ナシメント・ジ・リマは「彼はプロフェッショナルな選手です。私のキャリアのなかでもプロとして、人として、素晴らしいポテンシャルの持ち主です。この先、日本代表はもちろんヨーロッパでも活躍できると思う」とお墨付きを与えた。

町田から世界へ、平河からサポーターへ最後の挨拶

7月6日、海外移籍を決めた平河選手は町田最終戦に挑んだ。大学時代から鍛錬を積んだ本拠地で、最後にサポーターへメッセージを送った。拡声器を持った平河は「今日も熱い声援をありがとうございます。このたび、海外挑戦をすることになりました」と話すと、スタンドからは大きな拍手と声援が送られた。

それを10秒ほど黙って受け止めた平河は、続けて「最終的な目標を達成するために、しっかり頑張ってきたいと思います。町田が優勝できることを祈っていますし、自分も新天地でいい報告ができるようにがんばってきます」と頭を下げた。そこから、チームメイトが集まり胴上げが始まる。ファンも仲間も一帯となった瞬間だった。

セレモニー終了後には、カメラの前で再びインタビューに応じた。海外移籍のタイミングについて問われると「大学3年に町田に入った時と同じ感覚ですね。このタイミングを逃したら、目指すところへ行かれないかなと。今この順位なので難しい判断にはなりましたけど、自分の目標を達成するためにはこの決断が正しいと思いました」と、悩みぬいた上での決断だったと明かした。

最後にファンへのメッセージを問われると「自分は特別指定を含めると3年間、プレー以外のところでも本当にお世話になりました。当時、自分が来た時には描けないストーリーが見えてきました。本当にこのクラブに来てよかったと思います」と締めた。「町田から世界へ」のチームスローガン通りのサッカー人生を歩んでいく平河に、注目が集まる。


「FC町田ゼルビアをつくろう~ゼルつく~|2024#163」(2024年7月29日配信)

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