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低迷脱却を目指して岸田新監督が挑む!オリックス・バファローズ、チーム再構築への決意

オリックス・バファローズは2005年に近鉄との合併で誕生し、山本由伸や宮城大弥といった投手を輩出してきた球団。今年はホールドポイント数による選考基準が最優秀中継ぎ投手賞に導入されて20年目のシーズン。昨年は先発完投型の投手に送られる沢村賞の該当者はおらず、球数や登板日数を考慮した投手起用をしていく球団が目立つようになった。ここでは過去の球団データを元にしながら、オリックス・バファローズの投手起用の変化や分業化の歴史を振り返ってみたい。※イラスト/vaguely

Icône icône kinggearKING GEAR Département Editorial | 2025/03/04

2005年、バファローズ新体制に。仰木彬監督の下で新たなスタート

前年に近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブが統合し、オリックス・バファローズが誕生した。新たに発足した球団の初代監督には、両チームを優勝に導いた実績を持つ仰木彬氏が就任し、4年ぶりの現場復帰を果たした。投手陣では、ジェレミー・パウエルが14勝を挙げて最多勝を獲得。投球回数は200回を超え、5完投2完封を記録するなど、力強い投球を見せた。また、ルーキーの光原逸裕は7勝を挙げ、かつて近鉄で仰木監督と共にプレーしたベテラン・吉井理人や、3完投を記録した川越英隆もそれぞれ6勝を挙げたが、Aクラス入りにはわずかに届かず、4位でシーズンを終えた。

リリーフ陣に目を向けると、前年に17セーブを挙げた速球派・山口和男が制球難に悩まされ、調子を落とした。しかし、その穴を埋める形で、大久保が故障明けながらも22セーブを挙げ、復活を遂げた。また、中継ぎでは菊地原や加藤とともに「KKO」を結成し、71試合に登板して盤石の体制を担っていた。

監督交代劇と低迷続き、2015年も不振から抜け出せず

仰木監督の退任後、オリックスは中村勝広(2006年)、テリー・コリンズ(2007年)、大石大二郎(2008〜2009年)、岡田彰布(2010〜2012年)と監督が毎年のように交代し、2008年に1度だけAクラス入りしたものの、その後長期間にわたって低迷の時期が続いた。2013年から指揮を執った森脇浩司監督は、2014年に優勝まであと1歩と迫るも最終戦で敗れ2位となり、栄冠を勝ち取ることはできなかった。

2015年は森脇監督がチームを率い、ブランコや中島宏之などの大規模補強を行ったが、開幕から低迷。5月31日に自力優勝が消滅すると、監督の休養が発表された。その後、福良淳一監督が指揮を執ることとなる。この年の投手陣は、東明、西が2桁勝利をマークしたものの、前年に沢村賞を受賞した金子千尋は7勝止まり。完投数では、西が3、東明が2(1完封)、バリントンが1(1完封)を記録している。救援陣では、本来はリリーフエースとしての活躍が期待されていた平野佳寿の不調により、後半戦では佐藤達也が抑えに回るなど、歯車がうまくかみ合わなかった。リリーフ全体の防御率も今一つで、チーム全体として低空飛行が目立つシーズンとなった。

2024年、山本由伸の移籍と故障者続出で4連覇断念

オリックスは4連覇を目指して2024年シーズンを迎えたが、2023年に16勝を挙げてMLBに移籍した山本由伸をはじめ、FAでの山﨑福也の流出や故障者続出により成績は低迷。5位でシーズンを終えた。

エースの宮城は防御率1点台の好投を見せたが、勝ち星は昨年の10勝から7勝に減少。東は6勝から3勝、2023年新人王の山下は9勝から3勝と大きく成績を落とした。さらに、山﨑颯一郎や宇田川優希などの中継ぎ陣も戦線を離脱。森、頓宮、新加入の西川も打撃不振に苦しみ、精細を欠いたシーズンとなった。完投数は宮城が3、山下が1、エスピノーザが1の計5試合にとどまった。

一方、ブルペンでは古田島成龍が50試合に登板し防御率0.79、同じく山田修義が50試合登板で防御率2.08と安定感は悪くない。

2025年シーズンからは中島監督に代わり、岸田護氏が新監督に就任。投手王国を復活させるための手腕に期待がかかる。

エース任せからチーム全体での投手力へ

オリックス・バファローズの20年間を振り返ってみると、エース投手に試合を任せる傾向が多く、ほかのローテーション投手は規定投球回前後にとどまっていることがほとんどだった。2024年も50試合以上に登板した投手が4選手在籍し、リリーフ陣の活躍により勝利を手繰り寄せていることがうかがい知れる。オリックス・バファローズの初代指揮官の仰木彬氏が確立した強力リリーフチーム「KKO」からもわかる通り、このチームには投手分業制の意志が古くから根強く残っているのかもしれない。