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DDTプロレスの“絶対的エース”HARASHIMA。他団体へのベルト流出を阻止すべく、D王GP覇者・田中将斗と一騎打ちへ【1・26 後楽園ホール】

既存のプロレスの概念を吹き飛ばす発想で、ファンを魅了する団体「DDTプロレスリング」。昨年末、DDTでは東京都・後楽園ホールにて「D王 GRAND PRIX」が行われ、他団体であるZERO1の田中将斗が優勝を勝ち取った。その46歳の“弾丸戦士”は、DDT最高峰のベルトKO-D無差別級王座への挑戦が決定。迎え撃つのは、現在KO-D無差別級王座とEXTREME級王座の“二冠王”HARASHIMAだ。1月26日、後楽園ホールでの戦いを直前に控えた今、DDTの“絶対的エース”に話を伺った。

Icône 70090528 511982836063813 5722354386395463680 nSatoshi Dairaku | 2020/01/21
――HARASHIMA選手がプロレスに興味を持ったきっかけを教えてください。
 
HARASHIMA:僕は物心ついた時から「強さ」に対してこだわりを持っていました。例えば、「ライオンと虎、どちらが強いんだろう?」「そこにアナコンダが来たらどうなるのかな?」とか、「実際、一番強い動物は何になるんだろう?」など、最初は動物を対象に「強さ」について考えていたんです。その後、「人同士が戦ったら誰が一番強いんだろう?」と考え始め、人間の「強さ」に興味が湧いてきました。
 
僕が子供の頃は総合格闘技がなかったので、戦いといえば「ボクシング」「柔道」「相撲」、そして「プロレス」でした。他の格闘技と違い、プロレスは蹴ったり投げたりと色々なことが出来る。だから子供の僕は、プロレスが一番心惹かれましたね。
 
――では、子供の頃から何か格闘技を習っていたのでしょうか?
 
HARASHIMA:小学3年生から、プロレスと名前が似ているので、アマチュアレスリングのジムに通っていました。
 
最初はルールも分からずに始めて、本能のままに戦っていましたね(笑)。でもおかげで「ハーフネルソン(※レスリングの首攻めの一つ)」や「ブリッジ」など、レスリングの基本的な動きを身につけることが出来ました。ただ、親の仕事の関係で転校が多かったため、残念なことにレスリングは1年しか通えなかったんです。
 
その後、中学では3年間空手を習っていましたが、高校からは何も格闘技はせず、スポーツすらしていませんでした。ただ黙々と自己鍛錬をするという感じで(笑)。家の近くに竹林があるので、その木にクッションを巻きつけて蹴飛ばしたりしていましたね(笑)。もちろん腹筋や腕立てなどの基礎トレーニングはしていましたけど。

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――そんな時期があったとは(笑)。そして高校卒業後、大学から学生プロレス(以下、学プロ)を始めたわけですね。
 
HARASHIMA:はい。僕が所属していた頃が一番部員数が多くて、30人を超えていましたね。先輩には新日本プロレスの真壁刀義さんがいました。
 
今振り返ってみても、結構ハードな学プロだったなぁと思います(笑)。
 
基礎練習の後には自由時間があったのですが、関節技の好きな人たちと寝技の練習をしていました。その頃は、まだ総合格闘技というのがなかったので、ひたすらグラップリングを研究していたことを思い出します。
 
――大学卒業後は、プロレスラーとしてデビューされるまで3年間期間が空きますが、この時期は何をされていたのですか?
 
HARASHIMA:実は教師になりたくて教員試験を受けていたんですよ。でも当時は教員志望者が多く、試験を受けてもなかなか受かりませんでした。
 
その最中には色々なアルバイトをしていて、その中の一つにDDTのリング設営があったのですが、ある時、関係者の方から「選手がいないから試合に出てくれないか?」と言われまして。すぐにデビューが決まったんです(笑)。
 
――え、いきなりデビューですか!?
 
HARASHIMA:そうなんです(笑)。その頃、アルバイトの傍、定期的にアマチュアの格闘技サークルで練習をしていて。寝技中心の総合格闘技なんですが、プロレスに通じる基本的な動きを学ぶことができたので、デビュー時にはたいへん役に立ちました(笑)。
 
――アマチュアとはいえ、格闘技の練習をできていたというのは大きかったですね。それからプロレスラーとしてのキャリアが始まったわけですが、試合前に欠かさず行うルーティンはありますか?
 
HARASHIMA:霧吹きで自分に水を吹き付ける、というのを必ず行います。昔は見栄えが良いように体にオイルを塗っていたのですが、滑るので止めました(笑)。水を吹き付けるのは試合前、高ぶった気持ちを一度クールダウンさせる役目もあるんですよ。
 
――そうなんですね! では、リング上のコスチュームやトレーニングの際のシューズなど、こだわりの「GEAR(道具)」もあれば教えて下さい。
 
HARASHIMA:少し前まで、トレーニングの際、五本指シューズを履いていました。何故かというと、ウェイトトレーニングをする時、足にフィットして踏ん張りが利くからです。最近は外履きのまま入れるジムに通っているので、通常のシューズに変えてしまいましたが(笑)。ただ、靴下は五本指ソックスでグリップが付いているものを履いています。
 
この取材前にジムに行っていたので、今も履いているんですよ。若干色がカラフルですけど(笑)。試合の時も、リングシューズの中は基本的には指が離れていて、グリップが付いているソックスを使用しています。

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――試合中、レスラーの方々はこのタイプのソックスを履いているのですか?
 
HARASHIMA:レスラーによると思いますけど、五本指ソックスを履いている人は多いと思いますね。
 
――貴重な情報をありがとうございます(笑)。ところでHARASHIMA選手は、試合後のマイクアピールで「なんでかって。それは鍛えているからだー」で締めますよね? これは、いつ頃から、どんなきっかけで始めたんですか?
 
HARASHIMA:学プロ時代から「鍛えているから大丈夫だよ」とは言っていたんです。大学の友達や両親が学プロを観戦する度に、試合をしている僕の姿を見て心配していたので。なので当時は、みんなを安心させるワードとして使っていました。
 
ですがプロデビューして2005〜2006年あたりに、大鷲透さんとの試合中、パワーボムを受けて結構大きなダメージを受けてしまって。その時、会場のお客さんが心配してくれて、とっさに「鍛えているから大丈夫だよ」という言葉が出たんです。
 
そして他の試合の時、ある技を受けたら前と同じようにお客さんが心配してくれたので、「大丈夫だよ」と言ったら、お客さんから「なんで〜?」と返ってきて。その言葉に「鍛えてるからだ!」と答えたところから、今のマイクアピールが始まりました(笑)。
 
――そこからコール&レスポンスが始まったのですね。では、昨年11月3日の両国国技館大会で、KO-D無差別級王座とEXTREME級王座の二冠王に輝きましたが、この試合を振り返って頂けますか?
 
HARASHIMA:その時の試合は、お客さんの声援と、同じ時代を戦った選手の応援がすごく僕の力になりました。ドラゴンボールの元気玉ではないけど、そういった「後押し」というか、「エネルギー」を感じた試合でしたね。あの時のお客さんの声、セコンドにいた同じ時代を戦った仲間、KUDOくんやウラノくんとか木髙イサミとか、みんなの応援を感じたからこそ勝つことができた。なので僕1人では勝てなかったと思います。
 
――その時に獲得したKO-D無差別級王座を賭けて、1月26日後楽園ホール大会、D王GPで初出場初優勝を果たした田中将斗選手と対戦することになりました。D王GPのリーグ戦では田中選手と戦って、時間切れ引分けでしたね。
 
HARASHIMA:そうでしたね。田中選手とのリーグ戦は、僕が勝てばBブロックから優勝決定戦進出という大切な試合でした。絶対に勝たなければいけない試合だと分かっていたけど、戦っていて、どんどん楽しくなってしまったんです。
 
技をかけるとやり返してくるし、殴ると殴り返してくる。そのやりとりが楽しくて、気がついたら30分経ってしまいました。田中さんは元FMWの選手。僕はハヤブサさんが好きでFMWを観ていたので、その思い入れもありながらのシングル初対決でしたね。
 
――1月26日、後楽園ホールで戦う田中選手との王座戦で何か対策していることはありますか?
 
HARASHIMA:とりあえずコンディションを上げるだけですね。田中さんは僕よりキャリアも年齢も上ですけど、コンディションが抜群にいいんですよ。その部分はいつもお手本にしています。
 
年齢とともに「動けなくなる人・動かなくなる人・体がたるむ人・体がしぼむ人」がいますけど、田中さんはコンディションを保ちながら結果を出し続けている。キャリアを積んで体がだらしなくなると、年齢を言い訳にする人がいますが、キチンとしたトレーニングを積めば、まだまだ伸びてくるはずなんです。そこは僕自身、実際に体験しているので間違いないと思います。
 
そんな中、今でもより良いコンディションを保ってプロレスを続けているのが、田中将斗さんなんです。あの人があれだけ動けているんだから、僕もまだまだ伸びる、と思ってやっています。まさにプロ選手のお手本のような人ですね。
 
――ただ、リスペクトする相手ではありながらも、ベルトは獲られたくないですよね。
 
HARASHIMA:もちろん、DDTプロレス最高峰のベルト・KO-D無差別級のベルトですから、他団体に流出させることは絶対にしたくないですね。「DDTのリング」で「DDTのベルト」ですから。ただでさえ「D王GP」で優勝されているので、KO-D無差別級王座は渡したくないです。

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――そうですよね。昨年の「D王GP」の遠藤哲哉選手と田中将斗選手の優勝決定戦は、どんな気持ちで観戦していましたか?
 
HARASHIMA:あの2人が優勝決定戦で戦うことが決まった時、僕は漠然と「遠藤が勝つ」と思っていました。でも蓋を開けたら、最後には田中さんが遠藤を圧倒して勝利を飾っていたので、驚きましたね。田中さんのフィニッシュホールドである「スライディングD(尻もち状態の相手に対してロープの反動を利用し、相手の首元に自分の肘を叩き込む技)」の威力も全く落ちていませんでした。
 
――そのスライディングDへの対策はありますか?
 
HARASHIMA:対策ではありませんが、ハーフダウン(尻もち状態)の相手に対して仕掛ける技として、助走をつけ両ひざをぶつける僕のフィニッシュホールド「蒼魔刀(そうまとう)」と被るので、その部分では負けたくないですね。
 
――2019年は二冠王で締めくくりましたが、2020年はどのような一年にしたいですか?
 
HARASHIMA:「昨年より良い一年にする!」ですね。2019年は2本のベルトを持って終えることが出来たので、2020年は「もっとベルトを増やして、昨年以上に、より良い一年にする」ことを目標に掲げて突き進んでいきます。
 
――それは、他団体のベルトも含めてですか?
 
HARASHIMA:そういうチャンスがあれば他団体のベルトも狙いたいですね。ただ僕は、DDTという団体をもっと大きくしたい。やはり土台があってこそ上が広がっていくと思うので、基本的な部分であるDDTを大切にしていきたいです。
 
――最後に、1月26日の後楽園ホールに向けて意気込みをお願いします。
 
HARASHIMA:僕は、みんなの応援が力になります。みんなの声援があれば僕はもっと強く戦えるので、僕を信じて応援してください!


取材・文・写真/大楽聡詞
編集/佐藤主祥


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<Informations>
王者HARASHIMA選手が、田中将斗選手の挑戦を受けるKO-D無差別級選手権。この試合がメインイベントで行われるDDTプロレスリング「Sweet Dreams!2020」は1月26日 、東京・水道橋にある「後楽園ホール」で行われます。
 
詳しくは、下記のDDTプロレスリング公式サイトをご覧ください。