「やればできる」BC栃木・ティモンディ高岸宏行が10年ぶりの実戦登板「野球はやっぱりいい」
ルートインBCリーグの栃木ブレイブサンダースに投手として加入した、お笑いコンビティモンディの高岸宏行投手が、14日の埼玉武蔵戦で、初登板初先発を果たした。 初回は、守備の乱れなどでピンチを招くなど、制球に苦しんだ高岸投手は、2回を投げて52球、被安打3、5四球、3失点。10年ぶりの実践は、緊張感の漂うマウンドとなった。4−4の引き分けに終わった試合終了後に、高岸投手はインタビューに応じ、初のマウンドを振り返った。
Junichi Shiratori
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2022/08/14
まずは、寺内崇幸監督(元巨人)が、高岸投手の初登板の印象を語った。
――高岸投手の投球に対する印象をお聞かせください。
寺内: まずは、今日の試合で、しっかりと2回を投げ切ったことは良かったですが、ピッチングにも、(高岸投手の)緊張した気持ちが出てしまっていたように思います。制球は(安定せずに)難しいところもありましたが、それは初回の守備の乱れによって足を引っ張られ、リズム乗れなかったことも原因なのかなと。(高岸投手の)気持ち自体は見えたので、次に向けて良い登板をしてくれたら良いと思います。
――もとから2イニングを予定していましたか?
寺内:長くても、「3イニング投げてくれたら良いな」と思っていました。(初回に捕まらなければ)3イニングを投げられたかもしれない。今日もそうですが、長くプレーしてほしいところもあるので、今後は考えながらやりたいです。今よりはレベルアップできると思いますし、(高岸投手の投球に)期待もしています。
ストレートを投げ切ってほしいと思っていましたが、ストライクで勝負できるような準備をしてもらいたいと思っています。次の登板や、今後どこで投げるかについては、また本人と話をしながら決めていきたいです
――高岸投手のデビュー戦ですが、栃木としては、上位の埼玉に勝ちたかったのではないでしょうか?
寺内:これだけたくさんお客さんが来てくれたことがありがたいです。(栃木の)選手たちにとっては、これまでにはない環境や緊張感の中でプレーできたことが収穫でした。「勝ちたい思い」もありましたが、僕らも上位進出に向けてまだまだ諦めてないので、最後まで戦いたいと思います。
続けて川崎宗則選手と、成瀬善久投手総合コーチ(選手兼任)が登場し、高岸投手の投球や、チームに及ぼした影響を語った。
選手兼任コーチの成瀬投手は、この日の試合でもリリーフとしてマウンドに上がった。
――投球を振り返っての感想をお願い致します。
成瀬: 想定内ですかね。暑い中で投げる機会があまりなかったと思いますし、思った以上に気持ちが昂っていたように見えたので、「怪我だけは気をつけてほしい」という思いで(高岸投手の投球を)見守っていました。
――良かった点はありましたか?
成瀬:初回の無死1、2塁から、片山博視選手(元楽天)をダブルプレーに打ち取ったところですね。初回に味方のエラーはありましたが、相手のクリーンナップにも、しっかり投げられた点は良かったのかなと思います。
一方では、登板を終えた本人とも話しましたが、「まだまだスタミナが足りない」という課題もあります。仕事と野球の両立は大変ですが、あまり無理はしない程度に頑張ってもらいたいです。本人は真面目なので、くれぐれも怪我には気をつけてほしいです。
――今後の高岸投手の課題は?
成瀬: 10年ぶりくらいの実践ということもあり、興奮状態のなか、緊張しながらの登板だったようです。自分で練習してできたところや、足りないところを再確認できたところもあるのかなと。
本人は、「できることをやる」と冷静でしたが、今後については、登板時のスタミナや心肺機能の強化など、「やるべきことやってほしい」と伝えました。
――高岸投手の投球に対する印象をお聞かせください。
川崎:みんなのために良い投球をしてくれました。彼のピッチングは、みんなに元気与えてくれましたし、たくさんのお客さんを呼んでくれました。本当に嬉しかったです。 緊張したゲームでしたけど、高岸くんのおかげでパワーもらえて、素晴らしい試合になったと思います。(チームにとっても)こんなに良い経験はありません。高岸くんには、「入団してくれてありがとう」と言いたいです。
――仕事と、野球の「二刀流」の挑戦とのことですが?
川崎:仕事を抱えながらの調整をしないといけない状況なので、高岸くん本人も「チームに合流できない」ことを不安に思っていたようですが、「自分のペースで、トレーニングをしてくれたらいい。思い切って投げてほしい」と伝えました。正直にいうと、チームのみんなは連戦が続いていてヘトヘトなんですけど。高岸君の挑戦する気持ちを忘れてはいけないし、元気もらえました。
――マウンドに駆け寄り、声をかける場面もありました。どんなことを伝えましたか?
川崎:「やればできる!」です。それしかないですよ。本当に色々あったと思うけど、高岸くんがチャレンジして夢を掴む姿を見て、僕も色々学日ましたし、思い出すこともありました。かっこよかったです。
――高岸投手は、本塁打を打たれた埼玉武蔵の青木玲磨選手を、拍手で讃えるシーンも見られました。
川崎:勝負の世界ではありますが、相手を褒める気持ちも必要です。最近のスポーツ界では薄れてきているような部分もある気がするので、僕らも見習うことがあるのかなと感じました。
最後に、高岸投手が登場し、10年ぶりの実戦となる“プロ”初登板を振り返った。
―――今日の投球はいかがでしょうか?
高岸:僕自身も、現時点での100%を出し切れた点は良かったです。改善点や成長しなければ行けない点も見つけられたので、そこを改善し、向けて準備するだけです。
――緊張しましたか?
高岸:緊張はしなかったですけど、遠く栃木まで応援に来ていただいたという感謝の気持ちでいっぱいでした。「皆さんの応援あってこそのルートインB Cリーグであり、皆さんあってこその僕たちなんだ」という思いで、マウンドに上がりました。
――対戦された打者の印象をお聞かせください。
高岸:スイングひとつひとつに、「俺はこうなりたいんだ」という選手たちの意図を感じるんですよ。 「何を狙うか」とか、「どういう打者になりたいか」が伝わってくるので、それに投球で応えるのが楽しかった。10年ぶりの実戦でしたが、改めて野球の楽しさを感じました。
――本塁打を打った相手打者を祝福する場面もありました。
高岸:野球の素晴らしさや、魅力を伝えられたら最高ですね。甘い球を打たれて、「見事だな」と思いました。 ――前田さんに言われたことはありますか? 「楽しませてきてください」と言われました。選手としてもいつも通りの楽しませ方ができたかなと思います。
――今日の試合で投じた球種は?
高岸:今日はストレート、スライダー、フォークを投じました。僕の中では、全球「エール球」を投げ切れました。球速は見ていませんが、自分自身の気持ちの籠った「エール球だったかどうかが」一番大切だと思っています。全部が予定通りにはいかなかったですが、僕の中ではやり切れたので、満点をあげたいですね。
ー ー今後の目標を教えてください。
高岸: 本当は、皆さんを応援する側なのに、今回も応援されてしまった。今日球場まで来てくださったみんなの声援に、恩返しができるように励んでいきたいです。