日本史上初のメダル快挙!近代五種~プレイバックパリ五輪2024~
パリ五輪で行われた近代五種男子で、日本の佐藤大宗は決勝で1542点をマークして18人中2位となり、銀メダルを獲得した。なお、日本が近代五種でメダルを獲得したのは五輪史上初だ。※トップ画像出典/Getty Images
パリ五輪“近代五種”のおさらい
近代五種は、フェンシング、水泳、馬術、射撃とランニングを組み合わせた「レーザーラン」という5つで構成された「キング・オブ・スポーツ」とも称される過酷な競技。古代オリンピックのペンタスロン(五種競技)をモデルにクーベルタン男爵が考案し、1912年のストックホルム大会からオリンピックの正式種目となった。
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かつては5日間かけて各種目が行われていたものの、1996年のアトランタ大会以降は1日にすべての種目が行われる形式に変更。
近代五種はスピード感あふれる競技展開が特徴的だ。フェンシングはエペ形式で、相手の全身が有効面となる1本勝負。
赤い部分が有効面だ(画像作成/これ松えむ)
水泳は200メートル自由形、馬術は貸与された馬を用いた障害飛越競技が行われる。最後のレーザーランでは、3200メートルのランニングに加え、4回のレーザー射撃を実施する。競技者には各種目のスキルや体力だけでなく、長期間集中を保ち続けられる高い精神力も問われる。2028年ロサンゼルス大会では馬術が競技から除外され、代わりに障害物レースが加わる予定となっている。
プレイバックパリ五輪2024ホットな瞬間「近代五種女子個人決勝」
2024年パリオリンピックの近代五種では、8月11日にヴェルサイユ宮殿で行われた女子個人の決勝戦で大きな盛り上がりを見せた。最終競技のレーザーランを終えたハンガリーのミツェレ ・グヤーシュ選手の得点は1461ポイント。これはオリンピック新記録であり、同時に世界新記録でもあった。
ミツェレ・グヤーシュ選手(出典/Getty Images)
ミツェレ・グヤーシュ選手は最初の馬術からトップに立ち、フェンシング、水泳競技でも安定した成績で上位をキープしていた。最後のレーザーランではトップと25ポイント差をつけられて7位となるものの、全体を通して安定感のあるパフォーマンスが光っていた。
また、2位に輝いたのはフランスのエロディ・クルーベル選手。フェンシングでは260ポイントを獲得し、この種目で1位となるなど地元の声援を一手に受けて活躍したが、惜しくも銀メダルに留まる結果となった。金メダルのミツェレ・グヤーシュ選手とのポイント差はわずか9ポイントだった。
プレイバックパリ五輪2024【日本選手メダル獲得の瞬間】「近代五種男子個人決勝」
2024年8月10日、近代五種男子個人の決勝で、日本の佐藤大宗選手が銀メダルを獲得する歴史的な瞬間が訪れた。長い歴史のなかでも日本勢にとって初のメダル獲得となり、このニュースは国内外で大きく報じられた。9日に行われた準決勝では、フェンシングで6位という好成績を残し、馬術や水泳でも安定したパフォーマンスを発揮する。最終種目のレーザーランでは、さらなる好成績を収めて首位で決勝ラウンド進出を果たした。
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佐藤選手は決勝ラウンドでも着実にポイントを重ね、馬術では2位、フェンシングでは5位に食い込む。この時点で全体の2位をキープし、着々とメダルへの期待は高まっていった。続く水泳では12位となり全体の4位まで順位を落とすものの、最後のレーザーランでトップと12点差の6位と盛り返す。最終的なポイントを1542とし、堂々の銀メダル獲得となった。
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パリ五輪2024キングギア編集部の注目選手「エジプト アハメド・エルゲンディ選手」
2024年パリオリンピックの近代五種男子個人競技で金メダルを獲得したのは、エジプトのアハメド・エルゲンディ選手だった。
左から2番目がアハメド・エルゲンディ選手(出典/Getty Images)
世界新記録となる1555ポイントを叩き出し、異次元の強さを見せつける格好となった。馬術で300ポイントを獲得すると、フェンシングでも245ポイントを叩き出して単独首位となる。続く水泳では6位と順位を落とすも、トップとは3点差で、この時点でも全体では首位をキープしていた。
最終種目のレーザーランでは、698ポイントで11位となりほかの選手に差を詰められてしまう。しかし、前半戦の貯金が功を奏す形となり、トップを守り切ったまま金メダル獲得となった。2000年生まれのエルゲンディ選手は、若くして既に近代五種のエリート選手として知られ、前回の東京2020大会でも1477ポイントで、銀メダルを獲得している。2028年のロサンゼルス大会でも注目される存在であることは間違いないだろう。
【佐藤大宗】パリ五輪の戦績
初日:フェンシング・ランキングラウンド230点(6位)
2日目:乗馬300点、フェンシング232点、水泳301点、レーザーラン682点(グループB 1位・全体2位/総合得点1515点)
決勝 : 乗馬300点、フェンシングボーナスラウンド232点、水泳302点、レーザーラン708点(全体2位/総合得点1542点)
<最終成績>
1位:アフマド・ゲンデイ(エジプト)
2位:佐藤大宗(日本)
3位:ジョルジョ・マラン(イタリア)
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