
圧倒的な安定感で決勝進出も、ファン・ダイク不在時にどう戦う?チーム全体の戦力強化がポイントにーリヴァプールFCの展望
近年は名将ユルゲン・クロップ監督を擁し、プレミアリーグとCLを各1回制するなど欧州屈指の名門クラブに数えられる。2024-2025シーズンからは、オランダ1部リーグフェイエノールトで指揮を執っていたアルネ・スロット監督がチームを率い、リーグ戦では首位を快走中だ(2025年2月24日現在)。CL1次リーグでも7勝1敗と好成績を残し、こちらも首位でベスト16進出を果たした。監督交替初年度ながら好調な滑り出しで、このままリーグ戦・CLの2冠を達成する勢いだ。※イラスト/vaguely

リーグ・CLの2冠へ視界良好!カギとなるのは大黒柱の代役か?
1次リーグ初戦となったイタリアの強豪ACミランとの戦いでは、前半早々に1点を決められたものの、23分、41分にゴールを決めて前半のうちに逆転に成功。後半にも1点を追加し、3-1で快勝した。第2節のボローニャFC戦から6節のジローナFC戦までは1点も取られない安定感のある試合運びを見せ、危なげなく勝ち進む。特に第4節のバイエル・レバークーゼン戦では、FWルイス・ディアスのハットトリックなどもあり4-0で勝利。2024-2025シーズンのドイツ・ブンデスリーガにおいて、アウェイゲーム無敗で制した王者を終始圧倒する完璧な試合運びだった。続く第5節のレアル・マドリード戦では、GKクィービーン・ケレハーのPKストップなどもあり、2-0でスペインの強豪を撃破した。第7節のLOSCリール戦でも2-1と勝利し、1次リーグ7勝無敗と他チームを寄せ付けない強さを発揮。続くPSVアイントホーフェン戦に勝利すれば、1次リーグ8戦全勝となったが、2-1で迎えた後半45分に同点に追いつかれる。さらに、アディショナルタイムにはFWリカルド・ペピ選手に逆転弾を決められた。そのまま試合は終了し、初の黒星を喫してしまった。それでも、7勝1敗と圧倒的な強さと安定感を見せ、全体の1位で決勝トーナメント進出を果たしている。
▼2024-2025UEFAチャンピオンズリーグ1次リーグ成績
7勝1敗/17得点5失点/勝ち点21
2025年シーズン予想フォーメーション
リヴァプールFCのフォーメーションは、4-2-1-3を基本としている。GKはブラジル代表のアリソン・ベッカーが務めている。2024年10月の試合中にハムストリングを負傷し、以後戦列を離れていたものの、同年12月に復帰した。ただ、その間にレアル・マドリード戦で見事なPKストップを見せるなど、堂々たるプレーを見せたGKクィービーン・ケレハーにも再びチャンスが回ってくる可能性は十分に考えられる。DFラインは大黒柱のフィルジル・ファン・ダイクをはじめ、DFアンドリュー・ロバートソン、DFイブラヒマ・コナテ、DFトレント・アレクサンダー・アーノルドという布陣を敷いた。状況によっては、左SBにDFコスタス・ツィミカス、右SBにDFコナー・ブラッドリーが入る可能性もある。中盤の3枚はMFアレクシス・マック・アリスター、MFライアン・グラフェンベルフ、MFソボスライ・ドミニクの3選手がレギュラー格だ。しかし、リーグ戦やカップ戦も終盤戦になり疲れが見えてくる頃なので、MFカーティス・ジョーンズやMF遠藤航なども含めた総合力が試されるだろう。FW陣は試合によって流動的にスタメンが変化している。ここは、レバークーゼン戦でハットトリックを決めたFWルイス・ディアスをセンターにし、左に193cmの大型FWコーディ・ガクポ、右はチームのスター選手であるFWモハメド・サラーを配置した。

決勝トーナメントの展望ーレギュラーメンバー不在時の試合進行が課題
1次リーグでは、初戦から第7節まで7連勝を見せ、危なげなく決勝トーナメント進出を決めた。唯一の敗戦となった最終節も、レギュラーメンバーを大幅に入れ替えた結果なので、大きく悲観する必要はないだろう。とはいっても、ここから日程もタイトになってくるため、リーグ・CLの2冠を目指すチームであれば、ベンチ入りの選手も含めて全員が超一流のクオリティを発揮できるようにしなければならない。つまり、レギュラーメンバー以上に、それ以外の選手の存在が決勝トーナメントを勝ち抜くうえで重要になってくるだろう。たとえば、CBフィルジル・ファン・ダイクはチームにとって替えの利かない絶対的な存在だが、欠場した1次リーグ8節目のPSVアイントホーフェン戦は3失点を喫して敗北した。現状世界一とされるCBの代わりが務まる選手はそうそういないものの、不在時の試合の進め方はチームの大きな課題となりそうだ。一方、攻撃陣は8試合で17得点。まずまずの成績だが、グループ2位のバルセロナが28点、他チームも軒並み20点を超えているところをみると、まだ改善の余地はあるだろう。とはいえ、最終戦を除けば2失点と安定感抜群の守備陣ともうまく嚙み合っているようにみえるので、決勝トーナメントではさらなる奮起に期待したい。
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